【映画レビュー】「ウィリーズ・ワンダーランド」をあえて考察してみる【ネタバレ感想考察】

movie

ダメ映画を装った爽快作

KOX
KOX

今回は2021年公開のホラー映画「ウィリーズ・ワンダーランド」をレビューしマス。

筆者評価は★4.2

主演:ニコラス・ケイジ

監督:ケヴィン・ルイス

映画説明文から漂う、FNAF(※)感からなんとなく見てみた本作。実際に作成にあたってはFNAFを参考にしたそうです。

ストーリーは正直いって、最低です。笑

とはいえ不思議とずっと見ていたくなるような爽快感と、アトラクティブな音楽と映像、そして何よりニコラス・ケイジの存在が調和した作品でした。

本作のキーアイテムとなる、「エナジードリンク」は、本作そのものを表しているようにも感じます。

モノとしては化学的なものが配合されている最低な食品でありながら、その清涼感と味に虜になる。

そんな作品になっていたと思います。

※FNAF
Five Nights At Freddy’sの略。
呪われた動物の着ぐるみと戦うホラーゲームで、2014年に発売されて以降ゲーマーの間では絶大な人気を誇る。▼

スポンサーリンク

ざっくりあらすじ(ネタバレ)

道路に引かれた謎の鉄トゲのせいでタイヤがパンクしてしまった寡黙な男(ニコラスケイジ)。

そんな彼の元へ、車の修理屋のおじさんが近づいてきて、助けてやると言います。

しかし後になって支払いは現金だけしか受け付けないと言われてしまい、支払い方法がない男。

「じゃあ遊園地を1日かけて掃除したら、チャラにしてやるよ」と言われます。

早速掃除に取り掛かる男。

しかし世がふけてくると、遊園地内のロボット動物たちが彼を襲いはじめます。

この遊園地の中で何が起きているかを知っている女の子リブは、この男を救おうと、数人の仲間たちと共に遊園地の中へと入っていきます。

その頃寡黙な男は、1体目の襲ってきた「ダチョウの着ぐるみロボ」をギタギタにして殺害。

さらに次に襲ってきたゴリラ、そのまた次のワニのロボたちも殺害していきます。

リブが男の元に到着した頃、既にロボたちの死体が3つできていました。

実はこのロボたちは、元々街にいた悪魔崇拝のシリアルキラーたち。黒魔術を使うことでそれぞれの魂を遊園地の着ぐるみの中に移植して出来上がったものでした。

街の保安官は、このロボたちに対して、「生贄をささげるから、子供は殺さないでくれ」との協定を交わし、通りすがりの人々を罠に嵌めてはこうして生贄にしてきたのでした。

しかし、生贄にしたはずの寡黙な男がまだ生きており、それどころか着ぐるみたちを殺してしまっていることを知った保安官は、男に銃口を向け、大人しくように死ぬよう言います。

そんな保安官も、着ぐるみの1人が殺害してしまいます。

結局朝が来るまでの間に、寡黙な男は着ぐるみたちを次々に殺害。

生き残ったリブと寡黙な男は、直った車で何処かへと駆け出すのでした。

スポンサーリンク

超型破りな展開で「もはやコメディ」

通常のホラーの王道・定石といえば

バケモノや殺人鬼が出る→命からがら逃げ続ける→どんどんと仲間が減っていく→生き残れるのか!?

というものです。

この映画は、鑑賞者の中に存在しているこうしたステレオタイプをうまく逆手に取り、主人公が化け物をガンガン薙ぎ倒していくという構成になっています。

その倒し方も余裕も余裕と言った感じで、バケモノ2体に対して、手錠をされた状態でシバいていきます。

アップテンポでポップな音楽の中でこれを行うので、もはやホラーというよりもコメディ。

ニコラス・ケイジがハマり役すぎます。

この映画で面白いポイントは、ニコラス・ケイジ演じる「寡黙な男」以外は通常のホラーを展開している点です。

武器も持たずにバケモノの巣窟へと入っていく男女数人。

この男女数人は、女の子に片思いをするやつや、気の強い男、そしてその男と恋愛関係にあるセクシーな女の子などで構成されています。

この中では「行くべき派」「行かない方がいい派」で分かれているなど…、ホラー映画の王道中の王道です。

その後の展開も王道で、バラバラに散ってしまったり、ある男女はこの環境下で性行為をはじめたり。

言わずもがな、少しずつ殺されていきます。

もしこの映画に「寡黙な男」がいなければ、通常の王道ホラー映画として進行しています。

その証拠に、助けにきた女の子リブが、寡黙な男がバケモノを惨殺する様子にドン引きして絶句していました。このポイントは本当に最高の瞬間ですね。

スポンサーリンク

「寡黙な男」は何者なのか?

ここで、この馬鹿げていて最高にくだらない映画をちゃんと考察してみようと思います。

映画中一貫して語られることのなかったこの「寡黙な男」。

名前さえ明かされませんでした。

それどころかセリフさえロクになく、ニコラス・ケイジの無駄遣いというレビューも散見されました。笑

確かにね。とは思いますが、このニコラス・ケイジにしかできない存在感とコメディ感が強烈に刺さっている作品なのではないかと思います。

これがジョニーデップとか、レオナルド・ディカプリオとかではまた違う気がするのです。

さて、この「寡黙な男」。いったい何者なのか?

その答えはシリアルキラーではないでしょうか。

映画に登場するバケモノたちも、中身はシリアルキラーだったということが語られていました。

そもそもシリアルキラーとは何かというと

異常な心理的欲求のもと、1か月以上にわたって一定の冷却期間をおきながら複数の殺人を繰り返す連続殺人犯に対して使われる言葉である[1][2]。ほとんどの連続殺人は心理的な欲求を満たすためのもので、被害者との性的な接触も行われるが、動機は必ずしもそれに限らない[1]猟奇殺人快楽殺人を繰り返す犯人を指す場合もある。

wikipedia

大量殺人鬼と認識されることの多いシリアルキラーですが、その正体はある一定のルールや模範を持って定期的に殺しを行う犯罪者のこと。

ここで印象的なのは、「寡黙な男」がバケモノ退治(殺し)を行う前には必ずエナジードリンクを飲み、ピンボールを遊んでから行っていたということ。

彼の中には、「エナドリを飲みピンボールを遊んだ後に殺しを行う」というルールが存在しています。

この一般人には理解できない特殊なルールの存在は、紛れもなく彼がシリアルキラーであることを示しています。

その証拠に、彼は殺しに対して特に抵抗を持っていません。それどころか興奮したりするそぶりを見せており、殺人者としての素質が垣間見えます。

作中一度も喋らないのは、こうしたことを考えると極度のコミュニケーション障害・ADHDやPTSD持ちなどが理由に起因していると考えることもできるかもしれません。

これに加えて、殺人をするにあたって必要となる技術を持ち合わせているのにも納得がいきます。

普段人間の使うことのない能力であり、返り血に怯まない点や、屈強な肉体、その場にあるものを咄嗟に凶器にする能力から見ても、まずシリアルキラーで間違いないでしょう。

つまり、本作はシリアルキラーvsシリアルキラーの構図になっており、エイリアンvsプレデターのような夢の共演だったわけです。

スポンサーリンク

音楽が優秀

本作は、ストーリー以外のあらゆるディティールに謎に金とこだわりをかけています。

特に音楽面では、80年代の雰囲気のディスコティックで最高にかっこいい音楽が流れます。

本作の音楽性は多くの批評サイトでも高評価を集めています。

スポンサーリンク

まとめ

close up of fox on grass
Photo by Pixabay on Pexels.com
KOX
KOX

今回はホラーコメディ映画「ウィリーズ・ワンダーランド」をレビューしまシタ。

本作は究極に内容がないので、駄作として見なされがちですが、本気でB級作品を作ったらこうなりました。という作品としては革新的。

雰囲気づくりや音楽性も良い。

そしていい映画の特徴である「主人公を好きになれる」を主人公が一切喋らないのに達成してしまった、究極のハードボイルドホラーコメディです。

スポンサーリンク

コメント

  1. I love your blog.. very nice colors & theme.
    Did you create this website yourself or did you
    hire someone to do it for you? Plz respond as I’m looking to design my own blog and would like to
    know where u got this from. appreciate it

タイトルとURLをコピーしました