ダラダラ、チープでボロボロ
今回は2021年公開の映画「レミニセンス」をレビューしマス。
筆者評価は★2.9
出演:ヒュー・ジャックマン
監督:リサ・ジョイ(制作にジョナサン・ノーランも)
先日ネトフリにやってきたレミニセンスを早速試聴しました。
公開当時、劇場に見に行こうと思っていたのですが、忙しくて見に行けず。
早くサブスクに来ないかなと思っていたのですが、劇場で見なくてよかったです。笑
ざっくりあらすじ(ネタバレ)
装置に入った人の記憶を再生する操作を使って、サービスを提供しているニック。
ある日営業を終わろうとすると、女性(メイ)が入ってきます。
鍵を無くしてしまって、どこで無くしたかを知るために記憶装置を使わせて欲しいと言います。
美人だったのでやってあげることにしたニック。無事に鍵は見つかります。
これを機にメイと親しくなったニック。2人は恋に落ちます。
しかしある日を境にメイは忽然と姿を消します。これを調査するニック。
するとだんだんとメイの隠された過去が浮かんできます。
メイは元々娼婦であり、マフィアとの仕事の中で麻薬中毒となり、最終的にマフィアから麻薬をくすねて追われる身となっていました。
そんなある日、これを理由に汚職刑事から脅され、「大富豪が愛人との間に設けてしまった子供の暗殺」への協力を余儀なくされます。
その上で、その愛人がよく通っていた「記憶装置研究所」から記憶のファイルを消すため、ニックに接触していたのでした。
ニックはショックを受けます。
ニックはこの後、汚職警官の男を捕獲し、記憶操作装置にかけて真相を知ることとなります。
少年が暗殺される間一髪のところで、メイは汚職警官を裏切っていたのです。
少年を安全な場所へ送り届けたメイ。彼女の元へ汚職警官が来て居場所を吐かせようとします。
メイは入水自殺をすることで、少年の場所を言わないようにしていたのでした。
全てを知ったニックは、汚職警官を記憶の無限ループに陥れる「バーン」状態にすることにします。汚職警官が体を焼かれた際の記憶を無限に流し、苦痛を与えました。
この後、ニックは自ら記憶装置に入り、自身をメイと過ごした時間に無限ループさせ、バーンさせるのでした。
グダグダな設定「記憶再現装置」
設定があまりにお粗末で、その時点で映画に入り込むことができません。
「記憶を見て捜査する」という設定自体は悪くはありません(インセプションの超劣化版なことに変わりはありませんが)。
ただ、この物語の核とも言える「記憶再現装置」の設定がグダグダ。
最初にメイの記憶を再現した時、メイがステージ上で曲を歌っている様子を見ます。
これは、「記憶は三人称(神の視点)」で再現されるということを意味します。
つまり、メイの記憶でありながら、「そこにいた誰かの目線」「映画観客の視点」でその記憶を見ることができるわけです。
最初、それがこの記憶再現装置というものなのだと思いました。
しかし、マフィアのメンバーの記憶を再現した際は、1人称視点でした。
つまり、その記憶の持ち主の視点で記憶が再現されていくのです。
ええ…。
この時点でかなり萎えてしまいました。統一性がなく、映画の都合でいくらでも見せ方を変えられてしまう。
観客の入り込む余地はなく、とても受動的で退屈な映画になってしまいます。
グダグダな設定「水没都市」
未来の話なので、よくある「海面上昇によって水没した都市」が描かれています。
しかし、この設定が物語に直接効いてくることはあったくありません。
取ってつけたようなディストピア設定です。
ディストピアとは、ユートピア(理想郷)の対義語で、環境破壊や大気汚染、温暖化などの人間の行動によって荒廃してしまった未来を描く際によく使用される設定。
そういう意味で言うと、ディストピアとしてのパワーもかなり弱い設定です。
水没しているニューヨークなども、水没していることによって機能していないわけではなく、ある程度のインフラが機能しており、電飾が輝いており、人はそこで生活しています。
ディストピアというのは、マッドマックスとか北斗の拳の世界のようなものを言うべきなのです。
しかも水没具合にもばらつきがあり、ニックの住んでいるあたりは靴底がぱちゃぱちゃと濡れるほどなのに対して、ボートで移動しないとならないような場所もあります。
この辺りもグダグダです。
見応えのないチープなアクション
スローモーションを多用したり、アキンボ(二丁拳銃)で戦ったり。
そもそも軍人でもない女性がなぜかめちゃくちゃ強かったり。「ぽい」ことだけ並べているアクションシーン。
飛ばしたくなるほど退屈でした。
ここまで銃撃戦などを繰り広げながら、結局世界を救うとかの話には繋がらず、麻薬依存症の女性の影を追っているだけです。
治安を維持する組織が現れないので、警察は存在していないのかと思えば、最後少年を警察が保護したとかいう話も出てくるので、もう何が何だかわかりません。
日本における広告の罪
左がUS版ポスター。右が日本版ポスター。
US版では緑とオレンジが基調となっており、オレンジが球体となっていることで、夕日のようなイメーを受けることができます。
対して右の日本版ポスターでは、全体的に青が基調となっており、「レミニセンス」の文字だけが赤くなっています。
そしてこちら。
左が日本版レミニセンスポスター。
右側は日本版インセプションポスター。
もうお分かりですよね。
これに加えて
「インターステラーのジョナサン・ノーラン」という文字。
そう。インセプションくらいすごい映画ですよ!ノーラン兄弟の傑作ですよ!という超絶ミスリードを産むために仕組まれたプロモーションなのです。
金のことだけを考えてしまっている、汚れてしまった広告担当者の行き着いた先という感じです。
悲しいことです。
まとめ
今回は「レミニセンス」をレビューしまシタ。
かなり酷評になってしまった感はありますが、これは期待値が高かったことによる高低差が激しかったからです。
その原因はどこから来ているかというと、ノーラン弟が関わっていることと、インセプションライクな雰囲気の映画であること
そして主演がヒュー・ジャックマンという一級俳優だったことからです。
きっともっといい映画ができただろうに…。
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