【映画レビュー】アニメ「攻殻機動隊(1995)」ネットの海は広い。【ネタバレ感想考察】

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生命・魂・義体、傑作

KOX
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今回は、1995年公開のSFアニメの傑作、「攻殻機動隊」をレビューしマス。

筆者評価は★4.2

出演:田中敦子、大塚明夫、山寺宏一

監督:押井守

この作品以降、現在に至るまで新作が出続けるなど、カルト的な人気を誇るアニメ「攻殻機動隊」の始まりの映画。

本作以降、サイバーパンクな世界観を持つ映画やゲームにも、大きな影響を与えました。

豪華声優陣を迎えての本作。初めて視聴しましたが、圧倒的なセル画枚数により滑らかなアニメーションが実現していました。

ざっくりあらすじ(ネタバレ)

近未来。全身をサイボーグ化した女性「草薙素子」は内務省直属特殊部隊「9課(通称:攻殻機動隊)」の少佐です。

国際手配中のハッカー「人形使い」の逮捕に向け、組織で動き始めます。

人形使いを一度は捉えたものの、単なる機械である人形使いからは「ゴースト」が感じられます。

ゴーストとは、人間にだけある「自我・霊性・魂」のこと。

これにより、素子は「全身サイボーグの自分」と「ゴーストを持った機械」と、何が違うのか。移植された記憶と、蓄積された記憶とで何が違うのか。自分とは一体なんなのか。悩むようになります。

人形使いが何者かに回収されたため、足取りを追う9課。

追い詰めた素子は、人形使いの深層に「ダイヴ」し、情報を探ろうとします。

しかし、強力なゴーストを持つ人形使いに主導権を握られ、会話のペースを乗っ取られます。

人形使いは、素子と融合することによって、機械である存在を超え「進化」しようとします。

素子はこれを受け入れます。

目を覚ました素子は、町の見える丘に立ち、歩み出すのでした。

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動き一つ一つに宿る魂

脳と脊髄以外が全て人工部品でできているサイボーグ人間、草薙素子。

目は人間のそれとは思えないもので、その美しさの中に無機質な冷たさを秘めているグレー。

作中、素子は人間と機械を隔てるものは何か。自分は人間と機械のどっちなのか。考えます。

しかし、本作の中で、素子の振る舞いは、非常に人間的。

特にこの、「wake up」シーン。

目が覚めてからの動作その全てが、非常にリアルに作り込まれています。

この「寝起き」というシーンを超丁寧に描いているのは、素子が我々観客と変わらず、間違いなく「人間」であることを表すためでしょう。

どれだけ体を機械に置き換えても、そこには人間が残るのです。

もう一人の自分になれるかもしれない

素子の迷いを象徴させるシーンとして、この「ダイビング」のシーンがあります。

全身が鋼であるサイボーグにとって、水の中に入っていくという行為は、非常に危険を伴います。

素子は、水面に上がる時いつも「もう一人の自分になれるかもしれない」と考えると言います。

危ないぞという仲間の言葉に、「その時はただ死ぬだけ」と答えていることから、生になんらかの疲労が見られます。

命をかけるような危険な行為をする中に、自分の存在を確認し、浮上時の水面に自分の本質を見る。

こうした確認行為が素子には必要だったのです。

浮上した後、ヘルメットについた水滴とそこに透ける空。それは人間である部分と、機械である部分の両方が素子の中にあることを象徴していると言えるでしょう。

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なぜ融合を受け入れたのか

素子は、なぜ国際指名手配犯のハッカーAI、人形使いとの融合を決めたのでしょうか。

それは素子の、「アイデンティティ喪失への恐怖」が原因にあったのではないでしょうか。

素子は、自分の存在が唯一たりうるのか、自分とは何かがわからなくなっています。

対して、人形使いは機械でありながら人間よりも強いゴーストを持ち、自分がさらに上へ進化することを望んでいます。

この人形使いとの融合を果たすことで、素子の存在は確実に「唯一無二」の存在へと押し上げられます。

人間でありながら、機械。機械でありながら強いゴーストと脳核を持つ。いわば新人類です。

そもそも、「自分は何者なのか」と悩むこと自体が人間たりうる要素ではありますが、素子にとって、これから解放されることには大きな意味があったのでしょう。

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まとめ

a fox lying on a rock
Photo by Roy S. on Pexels.com
KOX
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今回はSFアニメの金字塔「攻殻機動隊」をレビューしまシタ。

間違いなく、傑作でシタ。

見応えのあるアニメーションと、ディティールまで滑らかに表現される作画、作り込まれた世界観、重厚なストーリー、非説明的な演出など、どれをとっても一級品の作品です。

20年以上前の作品でありながら、全く色褪せない傑作。ぜひ見たことがない方は、見ていただきたい1本です。

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