実際にあった胸糞事件がモデル
今回は、2008年公開のアンジェリーナ・ジョリー主演 サスペンス・ミステリー映画「チェンジリング」を考察します。
本作は1920年ごろのロサンゼルスで実際に起きたゴードン・ノースコット事件を基にしている映画で、被害者遺族の話も参考にされています。
見終えた一番最初に出る感想は「鬱」。鬱を極める作品ですね。
ただ、なぜ？どうして？が続くので不思議と観れてしまう作品です。
アンジェリーナジョリーが一般市民で一度も銃を持たない役ですが、非常に演技力が高く引き込まれました。
ざっくりあらすじ（ネタバレ）
シングルマザーのクリスティンは、一人息子のウォルターを家に置き、仕事へ出かけます。
帰宅すると、いるはずのウォルターがいません。
警察に連絡しますが「失踪から24時間たたないと子供の捜索はしません。大体の場合帰ってくるので。」とのことで取り合ってもらえません。
結局ウォルターは全然見つかりません。５ヶ月後、ウォルターを発見したとの連絡が警察から入ります。
クリスティンが会いに行くと、その保護されたという子供は全くの別人でした。訴えますが、警察は「気がどうかしてしまっただけで、この子があなたの息子です」と言って聞きません。
クリスティンは、一旦この子供を家に預かりますが、気がおかしくなりそうです。
警察にもう一度捜査をしてもらうため、公衆の面前で訴えます。しかしその後警察に連行・精神病院に入れられてしまいます。
共にウォルター捜索運動をしてくれていた牧師がこれを追求し、クリスティンは助かります。
このタイミングで、実は農園で子供が20人以上○害された事件があったことがわかります。そしてここにウォルターの名前がありました。
犯人はゴードン・ノースコットという青年。誘拐しては監禁し、痛ぶって◯害するという鬼畜を極めたクソ野郎です。
彼は裁判で無罪を主張します。が、絞首刑となります。
クリスティンは、ウォルターを失った悲しみを背負い続けます。
そんな時、同じくゴードンによって誘拐されたという少年に生存者がいる事がわかります。その子供の話によると、ウォルターを含めた数人がゴードンの元から好きをみて逃げたとのこと。その後それぞれがどうなったかはわからない、と。
クリスティンは、まだウォルターが生きていると信じ、捜索を続けるのでした。
最低野郎3人
本作には本当にどうしようもない最低な人間が少なくとも3人登場します。
ジョーンズ警部
自身の保身や、地位を優先し、かつ自身の権力に溺れて汚れに汚れた最低な男。
息子じゃないですと訴える母に、全く知らない子供を押しつけ、それに反抗する様子を見せたクリスティンを精神病院にぶちこむという鬼畜ぶり。
しかもクリスティン以外の女性もこうした理由でぶち込まれまくっています。
様々な映画でロサンゼルス市警は最低な人間の集まりとして描かれますが、そのトップがこれですからもうダメダメですね。
彼は裁判で、恒久的に停職処分となります。
ウォルターのふりをする謎の子供
全く別の子供をウォルターとして差し出した警察も警察ですが、母親でもなんでもない他人の家で嘘をついて暮らそうとするこの子供も意味がわかりません。
当初は何か事情があるのだろうと思っていました。たとえば家庭で虐待などを受けていて、そこから逃れるために嘘をついている。とか。
しかし蓋を開けたら、ロサンゼルスにいるお馬さんを観たかったとか、訳のわからない理由で嘘をついていた事がわかります。
ロス観光のために親元を離れ、かつ知らない女の人から叱責を受けながらも暮らしますか…？
この辺りは脚本に無理があったのかもしれませんが、もし実際の事件でもこうだったのであれば、この少年はかなり気持ちが悪いです。1番のサイコパスかもしれません。
ゴードン
本作最大の最低野郎は、人の形をした悪魔の◯人鬼、ゴードン・ノースコット。
子供を誘拐して鶏小屋に入れ、一人ずつ斧で◯害する。
映画では描写がありませんでしたが、実際の事件によると、少年に対して性的暴力を繰り返す、小児性愛者。
同じような目的を持った客に少年を売ったりしていたようです。用済みになったらまた斧で。
畑の土と石灰を混ぜた土地に埋める。また誘拐してくる。
最低の極みです。
それでいて自分の無罪を主張し、神に対して赦しを請います。地獄へ堕ちることを恐れながら絞首刑となります。
地獄行きに決まってますね。
ウォルターの生死
ウォルターの生死は、映画最後まで明かされません。
実際の事件の記録によると、ゴードンはウォルター◯害を認めています。しかし掘り起こした子供の人骨は損傷がひどく、DNA検査ができず、身元がわからないままということで、クリスティンは息子がまだ生きていると信じたまま生涯を終えたということでした。
おそらく、ウォルターは亡くなっているでしょう。
しかし生きていると信じて一生かけて息子の捜索をするクリスティンの姿は、我々の心の奥底に悲しみの凝縮した雫を落とします。
この、ゴードンが絞首刑となっても何も晴れない気持ちを我々オーディエンスも追体験するような作りになっているところが、本作の真骨頂と言えるでしょう。
まとめ
今回は最悪の事件を基にした「チェンジリング」の考察でした。
通常の映画では、犯人が最悪というケースが多いですが、今回の場合は、警察も最悪。
しかもこれが実際にあった事件だというからもう、やるせないです。
もしもウォルターが生きていたら、もちろん全く違った人生が待っていたんでしょう。
壁に彫った身長の痕は、もうあれより上に彫ることはできませんでした。
全体的に陰鬱な雰囲気で、観終わった後も尾を引いて陰鬱ですが、良作であることは間違いありません。
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