味わい深く面白い!これが「現代ゲーム」!
今回は2021年発売のゲーム作品「Twelve Minutes」をレビューしマス。
出演:ジェームズ・マカヴォイ/ウィレム・デフォー/デイジー・リドリー
監督:ルイス・アントニオ
シネマティックな展開と演出で、味わい深い面白さを感じられるゲーム「Twelve Minutes」。
多くの配信者が実況していることもあり、日本での知名度もそこそこです。
改めて、この作品の面白さ・可能性を考えてみます。
豪華出演者を見よ
まず、「言ってもゲームでしょ?」と言う思考を持っている方は本当に「勿体無い」。
ゲーム=退廃的な文化・引きこもり・ニートなどのマイナスイメージをメディアに刷り込まれているため、このような思考になることは、ある種自然かもしれません。
しかしゲーム作品は、もはや映画を超えた感動や体験をもたらしてくれる存在です。
その試行錯誤の幅は、同じく映画を超えています。
本作、「Twelve Minute」はその設定でも挑戦的・革新的であり、出演者も豪華。
今一度「ゲーム」への見方をフラットにしてみてください。
さて、本作の登場人物は主に3名。
①主人公の男性
②主人公の妻
③初老の警官
このそれぞれの登場人物の声の主演として豪華俳優が出演しています。
①主人公の男性=ジェームズ・マカヴォイ
「X -MEN」、「ナルニア国物語」、「スプリット」、「アンブレイカブル」などのヒット作品にたびたび出演し、毎回高評価を集める演技をしてきた俳優。
ゴールデン・グローブ賞やイギリス・アカデミー賞も受賞している、正真正銘実力派の俳優です。
日本のイベントにも多数出演しており、国内ファンも多いのではないでしょうか。
②主人公の妻=デイジー・リドリー
「スター・ウォーズ」シリーズで主人公の「レイ」を演じた彼女も、実力・知名度ともに一級品です。
トムホランドとのW主演で「カオス・ウォーキング」と言う作品に出演するなど、今後の活躍もどんどんと期待される俳優。
本作でも声優初挑戦とは思えないほど、自然で心地よい会話劇を演じました。
③初老の警官=ウィレム・デフォー
スパイダーマンシリーズで永遠の宿敵、「グリーン・ゴブリン」を演じた俳優です。
最新作「No Way Home」にも登場したことから、最近の若い世代にも認知度があるのではないでしょうか。
声が特徴的で、実はかなり声優向き。
彼の渋く迫る演技も楽しめます。
以上の演者だけをみても、本作がどれだけ力を入れられているかがわかるのではないでしょうか。
アパートの1室で繰り返される12分
本作は、アパートの1室のみが舞台となっており、ゲーム作品としてはかなり狭い世界での物語の進行となっています。
しかし、やれることは非常に多く、多数の選択肢を組み合わせたり、その行動の順番やタイミングによって細かく状況が変化していきます。
1本のゲーム作品として、これだけのいわゆる密室で、ここまでのスケール・情報量を体験させてくれるのは、見事としか言いようがありません。
主人公は、「妻と暮らすアパートに警察が押し入ってきて、主人公を殺害する」と言う1日を無限にループします。
プレイヤーは、その1日を繰り返すことで、妻の過去や、警察の正体から、「真実」を知ることになります。
通常のゲームとは異なり、目標やミッションが存在している訳ではなく、完全にプレイヤーが手探りで状況を探っていきます。
最終的なネタバレをすると、主人公と妻は母親違いの姉弟であり、そのことを隠したまま交際を続けた挙句、姉は妊娠をしてしまい、そのことを父親(ループでは警察の人物)が問い詰め、主人公は「忘却の催眠」を受けることを決意する…。と言う話になっています。
「原因不明の無限ループに囚われた主人公」として序盤は主人公の状況とプレイヤーの状況がリンクします。
しかし、中盤から終盤にかけて、主人公は一体何者なのか?と言う疑問がプレイヤーの中に現れることによって、主人公とプレイヤーの状況に乖離が生まれ始めていく作りとなっており、ここのグラデーションが、プレイヤーの捜索・推理スピードに依存しているため、それぞれのプレイヤーにフィットしたグラデーションとなります。
ここが本当によく作られています。
「光と音」が秀逸
本作は、グラフィックと動作は、昨今流行りの超リアル志向とは程遠い、いわばPS2やWiiの頃のようなクオリティ。
あえてこのクオリティにまで「落としている」のだとは思います。自殺をする選択肢や、射殺・ナイフで刺すなどもあるので、リアルすぎると「カジュアル層」が敬遠するかもしれません。
その分を取り返すかのようにこだわられているのが「光と音」。
隣の部屋から漏れてくる籠った音の表現や、アイテムひとつひとつの取った時の音の違い、水を注ぐ音…。一回プレイすれば、どれだけこのゲームが「音」にこだわっているかわかるはずです。
さらに光。
電気のオンオフはもちろん、オフにした時に光源となるものから出る微細な光、外を走る車のテールランプなどなど、光の表現のリアルさによって、さらに没入感を増します。
後半の展開自体は平凡
後半の展開はサスペンス・スリラーでありがちな「真犯人は俺だった…!?」というもの。
明らかになっていく謎も、よくある展開ではあります。
とはいえ、ゲーム開始時に「はじめる」ではなく「続行」と書いてあったことの意味がわかるようになっていたり、プレイヤー自身も周回することによって新たな発見があるように作られています。
また、エンディング自体も一意的なものではなく、プレイヤーがどう捉えるかに任されているため、一般的な少年向けゲームとは違い、奥深さが存在しています。
まとめ
今回は「Twelve Minutes」をレビューし、ゲームの持つ力について考えまシタ。
映画好きにこそやってほしいゲームデス。
「たかが映画」と思わずにぜひプレイしてほしいですし、なかなかプレイまでは難しいと言う場合は、実況動画がたくさん出ていますので、好きな実況者の動画を見てみるのがいいと思います。
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