1bodyをめぐる2soulsの物語
今回は2020年公開のamazonオリジナル映画「ブラック・ボックス」をレビューしマス。
筆者評価は★3.2
主演:マムドゥ・アチー
監督:エマニュエル・オセイ=クフォーjr
ブラックの登場人物で構成された映画「ゲット・アウト」で世界的に有名になった製作陣が制作した本作「ブラック・ボックス」。
映画題名にもブラックと入っているように、本作の登場人物もほぼブラックです。
内容はネトフリのブラック・ミラーにありそうな、近未来技術を起因としたスリラー。
悪くはないのですが、特に良くもない…。というのが正直なところですね。
主演のマムドゥはネトフリで「アーカイブ81」というドラマの主演も演じています。
ざっくりあらすじ(ネタバレ感想)
半年前の交通事故から生還したノーランは、重度の記憶障害を抱えながらも、事故で亡くなってしまった妻の分も娘のエヴァを育てるため仕事を再開します。
しかし、記憶障害のせいか仕事のクオリティも落ちてしまい、エヴァともうまく行きません。
父親を続けるには治療が必要。そう考えた彼は、彼の命を救ってくれたリリアン医師の治療を受けることにします。
それはリリアンが独自に開発した「ブラック・ボックス」という装置を使って脳の深層の記憶にアクセスするものでした。
この装置を使うノーランですが、毎回身体がぼきぼきに折れた人間のような化け物が襲ってきてしまいます。しかも記憶に登場する人物たちはみんなのっぺらぼうです。
ノーランは、記憶の中で自分が妻に対して暴力をした場面を思い出します。しかしそこはノーランの家ではありませんでした。
謎を追っていくと、だんだんと記憶が戻ってきます。
「僕はノーランじゃない!トーマスだ!」
実は、リリアン医師は死んでしまった自分の息子「トーマス」の脳波をPCにダウンロードし、脳死状態の患者が来たらその脳波をアップロードすることで「トーマス」を移植しようとしていました。
ノーランに移植されたトーマスは、徐々に自身の記憶を取り戻してきました。
妻と娘の元へ行き、一緒のやり直そうとします。しかし拒絶されてしまいます。
実はトーマスはDVが原因で、妻ともめ、階段から足を滑らせて死んでいました。
トーマスは、完全に自分を手に入れるため「あの化け物」を克服しようとします。
しかし、最後の最後で、あの化け物は「ノーラン」だったことがわかります。
トーマスは、ノーランを部屋に残したまま、「記憶の安全部屋」の外へと消えていくのでした。
ノーランは自身の体を取り戻し、幸せな生活を送るのでした。
設定の無謀さと、ベタさがbad
いち女性医師が、一人で発明した装置としてはどう考えても未来を行きすぎています。
まあSF映画なのでここにツッコミを入れるのもアレですが…。
階段から落ちて死んでしまう…だとか、別の身体への意識の移植…とか、この辺りの設定がベタでした。
ネトフリの「ブラックミラー」の1本くらいのボリューム感でやっても良かったのではないかなと思います。
トーマス・リリアン親子へのカタストロフィがない
超DV息子をこの世に蘇生するために、他人の命を利用しようとした母リリアン。
この親あっての子供。とでもいうべき自己中心的な人格にはフラストレーションが溜まります。
印象的だったのは、トーマスが自分のことを思い出した際に母に言った「ママは俺に何を期待しているんだ!」という言葉。
この言葉で親子関係が把握できますよね。
もしかするとトーマスは、死んでしまって良かったとさえ思っていたのかもしれません。
トーマスは自分の娘にも手を上げる、最低な男です。
この2人へのフラストレーションは映画中盤でかなり溜まりますが、それへの解放が用意されておらず、後味が悪いまま映画が終わってしまいます。
この辺りはもう少しやりようがあったかと思います。
続編…?
本作の最終シーンで、病院をクビになったリリアンが自宅でパソコンをいじる場面がうつされます。
再度機器にトーマスをアップロードすると、機器が眩く光ります。
「トーマス…??」と言ってそのシーンは終わりです。
なんとなく次につながりそうな終わり方です。
倒したと思った敵が最後ピクッと動く…みたいな映画的な繋げ方ですよね。
とはいえ2が出るような内容の映画ではない気がするので、リリアンは息子を諦めないのであった…みたいな含みを持たせた終わり方にすることで、観客の想像力を掻き立てているのかもしれません。
まとめ
今回はAmazonオリジナル映画「ブラック・ボックス」をレビューしまシタ。
ゲットアウトが高評価映画だっただけに、今ひとつな印象でした。
とはいえ、ゲットアウトもそこまで面白い!と感じなかったところがあるので、僕は世間とずれているのかもしれません…。
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