【映画レビュー】強欲の現代「ナイトクローラー」【ネタバレ感想考察】

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「映え」の狂気

KOX
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今回は2014年公開の映画「ナイト・クローラー」をレビューしマス。

筆者評価は★3.9

主演:ジェイク・ギレンホール

監督:ダン・ギルロイ

2015年アカデミー賞脚本賞に輝いた、社会派映画「ナイトクローラー」。

主演は実力派俳優のジェイク・ギレンホール。

視聴率・再生回数至上主義の世界が生んでしまったモンスターを描いた良作でした。

映画の上で起きている架空の出来事ではなく、現在進行形で起こっている出来事として見ることができます。

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ざっくりあらすじ(ネタバレ)

定職についていないルイスは、金網やマンホールを盗んではそれを売り捌いて生活する盗人。

もっと金になることをしたいルイスは、車で帰路につく途中で、交通事故に遭遇。

その様子をカメラに収める男を発見。その映像をTV局に売りに出すという男。

ルイスはこのビジネスに興味を持つようになります。

この業界では、「より近く・より刺激的で・誰も撮れない」映像が高値で取引されることを知ったルイスは、求める映像がどんどんとエスカレートしていきます。

警察よりも先に現場に到着して、遺体を「映える」ところに移動させたり、まだ生きている人も「映える」という理由で助けなかったり。

非人道的・非道徳的になっていきます。

ある日、一家惨殺の強盗事件が発生。ルイスはまた警察より先に到着。すると、現場から銃声が。

その後家から犯人と思われる男2人が逃走していく様子を確認したルイス。

その後家の中に入って撮影を終え、映像を売り渡しにいくルイス。

この頃ルイスは良い身なりで、スポーツカーに乗っていました。

その後TV局に警察がきて、映像を撮ったルイスに事情聴取が入ります。

犯人の顔や、車のナンバーを撮ったかどうか聞かれるルイスですが、撮っていないと言い張ります。

その後ルイスは、わざと犯人の情報を伏せることで、「自分が1番良いと思ったタイミングで通報」することで、また良い映像を撮ろうと試みていました。

犯人のナンバープレートから車を割り出したルイスは、犯人を尾行。

犯人が銃を持った状態で、人の多い中華料理屋に入ったことを確認したルイスは、このタイミングで通報。

カメラを回し出します。

ルイスの予想通り、銃撃戦が始まり、警官を含む民間人が撃たれていきます。

車で現場から逃走する犯人を、パトカーとルイスの車が追います。

その後犯人とパトカーが横転。

ルイスは助手のリックに「犯人が死んでる。撮ってくれ」と言います。

リックが近づくと、犯人はまだ生きていて、撃たれてしまいます。

撃たれ、死んでいくリックをカメラに収めるルイス。

ルイスはまた、映像を売って生きていきます。

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それでも評価されてしまう社会

ルイスは元々盗人。悪人です。

そんな男が「道徳観・モラル」を無視すればどれだけでも金になる仕事を見つけたら、どうなるのか。

これはフィクションでもなんでもなく、現実の何処かで起こっていること。かもしれません。

日本で言えば迷惑系Youtuberに見られるように、「再生回数」を優先するばかりに周囲に迷惑行為を行ってしまうようなもの。

また、視聴率をとるために、遺族への心無いインタビューや取材を続けたりするいわゆる「マスゴミ」という言葉にもよく見られるもの。

もっと近しいところでは、SNSなどの動画コンテンツにも言えることです。

注目を浴びることが直接金になる・評価される現代社会では、どこにも「ルイス」は存在します。

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「作られたもの」と理解すること

映像が伝えるのは、あくまでも誰かの手によって「作られたもの」であることを理解しなくてはなりません。

情報が氾濫する現代において、これを見誤ってはなりません。

これは、本作の中に登場するような「事件性のあるもの」だけではありません。

「かわいい」「感動する」「かっこいい」。こういった全てのものも「作られている」ということを理解しなくてはいけません。

僕は最近、インスタなどでよくある、「ボロボロで痩せほそった犬を保護してあげた..!」みたいな動画。

これが「作られたものなのではないか」そう思えてなりません。

ダイエット商品の広告のため、痩せている人を太らせ、逆再生することで痩せているように見せる企業が存在することは、有名な話です。

もし、犬にご飯をあげずに虐待した後で、自作自演していたら…。きっとそういうことをしている人も存在します。

「それが評価される世界」だから。

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ルイスが痛い目を見ないエンディング

本作は、非人道的な取材を続けていく主人公が最後まで「成功」をおさめて映画が終了します。

このことの意味は、現代においては「ルイス」を止めることができないことを表しています。

法律の穴を掻い潜るため、逮捕もできません。

何よりも原因なのは、ルイスのニュースを見ている「視聴者」。

つまり我々です。

ルイスが過激な映像を撮ればとるほど、視聴率は上がる。

本作にも直接登場さえしませんが、視聴者による責任は非常に重いです。

あらゆることに疑問と強い信念を持つこと。

現代社会で生きていくのであれば、これが重要になります。

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まとめ

fox sticking it s tongue
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KOX
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今回は「ナイト・クローラー」をレビューしまシタ。

「再生数至上主義」的な考え方に侵された現代社会に対する問題的としては良い映画。

ただ、映像の新しさ等はなく、音楽もあまりマッチしないようなものも多い。

面白みよりも「なるほど」感が勝つ映画かなという印象です。

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