コロナ禍の映画制作を描いた安コメディ
今回は、2022/4/1公開のコメディ映画「ザ・バブル」をレビュー。
筆者評価は★2.2です。
出演:カレン・ギランほか
監督:ジャド・アパトー
ネトフリ、最近オリジナルの質が良くないような…。
タイトルに安コメと書いたものの、キャストは豪華なので、お金はかかっていると思います。
が、展開とかストーリーが「安い」と言うことですね。逆にこのチープさを表現したかったのかもしれません。
ちなみに、googleで本作を検索すると、出演に「ベネディクト・カンバーバッチ」と書いてありますが、ネタで一瞬出るだけなので、期待しないようにしてください…。
昨今ディープフェイクが流行ったから、一瞬ネタで出ました。
ざっくりあらすじ(ネタバレ)
コロナ禍での製作が決まった、「クリフ・ビースト6」。
出演俳優たちは皆、「バブル」という映画撮影施設に入ります。
バブルでのルールとして、撮影終了まで外出禁止。セックス等の「濃厚接触」は禁止。とのこと。
プロモーション用の映像撮影のため、スタッフの「スコット」がカメラを回しています。
最初こそなんとか撮影していた俳優たちですが、だんだん外の世界に出たくなります。
ある日俳優の一人である「ハーウィ」が、我慢の限界に達し、撮影を投げ捨てて帰ってしまいます。
これを受けて、俳優が外に出れないようにセキュリティを強化。
数日後、外に出ようとした「ローレン」は、セキュリティに手を撃ち抜かれて指を失ってしまいます。
バブル内はだんだんとカオスに。セックスやドラッグをしてしまったり、コロナの代わりにインフルエンザが流行ったり。
俳優たちは、力を合わせてこのバブルから脱出することを決めます。
監視を掻い潜り、裏庭に止めてあるヘリに乗り込みます。
ヘリの運転方法がわかりませんが、Youtubeで検索してHow toを学びながらヘリを運転します。
無事脱出できてから2年後。
バブルでのドタバタを収めたドキュメンタリー映画が世界的ヒット。俳優たちは特別イベントに出ているのでした。
それはあの「スコット」がプロモーション用に回していたカメラの映像なのでした。
fin
視点がブレるので見にくい
コロナ禍における映画製作がテーマということで、設定としてはかなり引きがあって面白いものでした。
現場のドタバタもさることながら、なんとしても映画を製作し、存続せんとする映画会社のやりとりなども描かれ、その辺りは面白かったです。
ただ、「コロナ禍」と言うところが映画の主題であるべきなところなのに、なぜか見る側の視点を「コロナ禍」から引き剥がそうとしてきます。
例えば、外へ出ようとした俳優の手が銃でぶち抜かれるシーン。
コロナ感染だとか、そんなことよりも遥か上をいく緊急事態・異常事態が起きてしまっている。
そしてなぜか俳優たちは、「指なくなっちゃったの?大変だね」くらいの温度感で撮影を進めます。これが本当に意味がわからない。
このくらいには、「コロナ禍」と言う設定はもう誰も覚えてません。
と思えば、思い出したかのようにコロナの検査をやってみたり、テレビ会議をやってみたり。
と思えば、監督に対してセリフの書き換えを求める俳優が出るくだりを長々と流したり。
視点がブレブレになり、非常に見にくい作りになっています。
毎回通話するごとに別の場所にいる上司
本作で最もわかりやすかった対比は、たびたびテレビ通話で登場する映画会社の上司でしょう。
バブルに100日間以上カンヅメにされている俳優たちとは裏腹に、テレビ通話するたびに、イタリアだったりアフリカだったり、別の国にいる様子が伺える上司。
パンデミック下において、自粛・隔離生活を強いられるのは被支配層であり、支配層はイタリアの川のほとりのレストランに行けるのです。
そしてこの観光地から、「自粛しつつ、なんとしても映画を完成させなさい」といってくる訳です。
閉鎖された空間と、解放された空間との対比、被支配層と、支配層と言う対比になっているのは面白かったです。
どこまでリアル?
本作はコロナ禍の映画製作のリアルな裏側を、フィクションとして描いている…と言う流れが大筋なはずだと理解しているのですが
2点気になる点があります。
1点目はセックス。2点目はドラッグ。
芸能人はここまでセックスを我慢できないのか?について。一般人でもハードルの高いものを、人気業ですぐニュースになる現代において、1本の映画を撮る期間も我慢ができないものなのか。と言う点。
パンデミック下では、もしコロナに感染した場合は感染経路からわかってしまいますし。
とはいえ、共演から交際に発展するセレブも多いのは事実なので、撮影中のあれこれはあり得るんでしょうか。
ドラッグについても同じく。コロナの検査をしっかりする前に、ドラッグの検査などはないのでしょうか。
映画内ではオーバードーズによって俳優の一人が心肺停止になっています。
コロナ感染なんかより全然問題だと思うのですが…。これがリアルなのかアンリアルなのかがわかりませんね。
この辺りも「見づらさ」の源流になっていそうです。
まとめ
今回は2022/4/1公開のコメディ映画「ザ・バブル」のレビューでシタ。
酷評にはなってしまいましたが、ロッテントマトでも24点と超酷評だったので、まだ優しい方デス。
Youtubeの英語トレーラーのコメント欄には、「熱の時見る夢見たい」と書かれていたり、結構訳のわからなさが指摘されてました。
そこまでのわけわからなさではなかったかなと言う印象ですが、基本的に面白くなかったです。
ネトフリは最近、オリジナル作品の質があまり良くない気がしますが、オリジナルでガンガン映画作って出していく実験的スタイルはとてもいいと思います。
これからのネトフリに期待ですね。
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