【映画レビュー】「ディープエンド・オブ・オーシャン」【ネタバレ感想考察】

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見ず知らずの人が育てた我が子

KOX
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今回は1999年公開のヒューマンドラマ映画「ディープエンド・オブ・オーシャン」をレビューしマス。

筆者評価は★4.0

出演:ミシェル・ファイファー/トリート・ウィリアムズ

監督:ウール・グロスバード

失踪した息子が、9年後に返ってくる。

9年のブランクを乗り越えて、家族は一つになれるのか。というお話。

親たちは、返ってこない存在としてやっと心の傷が癒えたところで、息子が帰ってきます。

息子は、幼すぎて自分が他の家の子供とは思っていない。という残酷な設定。

激重の内容になりそうですが、明るい映像と音楽、兄弟のふれあいの様子などを差し込むことによって、ハートフルな映画に昇華されています。

カジュアルに見れる映画として良作でした。

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ざっくりあらすじ(ネタバレ)

息子2人と新生児の娘1人を連れて、高校の同窓会に出席した母ベス。

お兄ちゃんのヴィンセントに、弟のベンと手を繋いで待っておくように言ったベス。ちょっと用を済ませて帰ってくると、そこにはヴィンセントしかいませんでした。

「どこかにいっちゃったよ」と言うヴィンセント。

その後どれだけ探してもベンは出てきません。

警察やマスコミも巻き込んでの大ごとになって行きます。

何週間経っても出てこないベン。

ベスの心はボロボロでした。

誰に会っても、「きっと見つかるわ」「大丈夫よ」と言われ続けます。自分への罪悪感と、根拠のない励ましに耐えられなくなったベスは、ベンはもう見つからないと割り切ってしまいます。

事件から9年が経ち、一家は新天地に引っ越していました。

新たな生活を始めている一家。

ある日、庭の芝刈りのバイトをさせてほしいと、近所に住む少年が家を訪れます。

その姿を一眼見たベスは、ベンに間違いないと確信。警察に相談し、ベンの家へ乗り込みます。

出てきたのは、普通の男性「ジョージ」。彼は、ベスの高校時代の同級生「セシル」の夫でした。

セシルはベスがベンを産んだ頃、子供を授かっていました。

しかし子供はすぐ亡くなってしまいます。心を病んだセシルは、同窓会会場で、同じ年頃のベンを誘拐し、自分の子供として育てていたのです。

ジョージは、2人目の夫でした。ジョージは、ベンを「セシルの前の夫との間の子供、連れ子」として、心から愛して育ててきていました。

セシルは、心の病が治らず、2年前に自殺していました。

これによってジョージはもちろん無罪。しかし、ベンはベス一家の元へと帰ることになります。

しかし、9年間の空白は両者の間に大きな溝を生んでいました。

ベンにとって、父親は「ジョージ」。家はここではなく、2ブロック先です。

なかなかうまくいかない家族関係。

ベンは、「僕の家に帰る」と出ていってしまいます。

不良の兄のヴィンセントは、夜家を抜け出して車を運転し、交通事故になります。

これによって留置所に入ることとなるヴィンセント。

ベンが彼の元に面会にきます。

「友達になれるかと思ってきたんだ」と言うベン。

「なれるわけないだろう。」と答えるヴィンセント。

その後ベンは「君がお兄ちゃんということはわかるんだ」と話し出し、お兄ちゃんに会いたいと思っていたと話します。

弁護士のお陰ですぐ留置所を出たヴィンセントの元に、またベンがきます。

2人は深夜にもかかわらず、庭のバスケットゴールでバスケをします。

今日はもう遅いから、また明日来いよと言うヴィンセント。

しかしベンは荷物をまとめて出てきていました。

この家で生きていくよ。どうなるかわからないけど。

ヴィンセントは、「あの時、俺が手を離したんだ。どっか行け!って言ってしまったんだ」と告白。

しかし、ベンは意に介しません。またここから兄弟として生きていく2人でした。

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本当の原因

あの日、同窓会会場でずっとつきっきりで子供のそばにいれば。

そう思ってどんどんと自分を責めていくベス。

しかし本当の原因はそこではありませんでした。

あの日、ヴィンセントは「首のところがとても痒い」と言っていました。母親にどうにかしてほしいというような感じで言っています。

しかし、母はヴィンセントのことは全く気にせず、弟をきちんと見ておくようにと言います。

その後、ベンはいなくなりました。

家族写真でも、ヴィンセントの表情は、とても暗いです。

ヴィンセントは、両親の愛が、ベンに取られてしまったと言うふうに感じるようになっていたのです。

そのため、あの日会場でヴィンセントはベンの手を離し、「どっかいっちゃえ!」と言ってしまったのです。

本当の罪は、ヴィンセントの気持ちにより添えなかったことと、ないがしろにしてしまったことです。

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ジョナサン・ジャクソンがいい

9年後ヴィンセントを演じた、ジョナサン・ジャクソンのビジュアルと演技力が最も光っていたように思います。

弟もぽっちゃりしていて可愛くて、「弟!」と言う感じがあっていいのですが、何と言ってもこの兄貴役がとてもいいです。

セリフの言い方も演技演技しておらずとても自然で、かっこいい。

ガラスのハートと絶妙な心身の成長過程、それを隠すための強気な態度などがしっかりと演じ切れていました。

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最大の被害者

本作で最も救われないのは、妻の連れ子を、その妻が亡くなった後も自分の本当の息子のように愛してきた、ジョージでしょう。

彼はある日突然息子は誘拐された別の家の子供だと言われ、ひとりぼっちになってしまいます。

しかし、彼は息子の本当の幸せはなんなのか。本当の家族のもとで暮らすことこそ幸せなのだと考え、送り出すわけです。

本作では、ジョージがその後どうなっていくかは描かれませんでした。

正直言って、ここをしっかり描いて欲しかったところ。

悪いのは勝手に誘拐した元妻だけです。

ベンには、ジョージの方の親戚と、本当の両親の方の親戚とがいます。

ジョージの方の親戚からしても、ベンはかけがえのない存在。

ジョージ方の方の親戚との繋がりを持ちつつ、前に進んでいくと言うシーンを差し込んでくれれば、評価はもう少しあがりました。

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まとめ

fox sticking it s tongue
Photo by Pixabay on Pexels.com
KOX
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今回は「ディープエンド・オブ・オーシャン」をレビューしまシタ。

題名、「ディープエンド・オブ・オーシャン」は、深淵という意味。

「家族」の深淵。忘れ去られてきた思い出たちの「深淵」。親としての愛の「深淵」。

辛い体験をしながらもその中でたどり着いた深淵を感じ取る作品でした。

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