人生の短さと人の本質を学ぶ108分
今回は2021年公開のパニックスリラー「OLD」をレビューしマス。
筆者評価は★4.1
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル/ビッキー・クリープス/アレックス・ウルフ/トーマシン・マッケンジー
監督:M・ナイト・シャラマン
公開当時から気になっていながらも、この手のパニックホラー作品は当たり外れが激しく、サブスクに来るのを待とう…。と決めてから1年。
ついにサブスクにきたので鑑賞。
本作は「当たり」の部類でした。
僕の好きな女優「トーマシン・マッケンジー」も出演していたので、全体的に満足できる作品でした。
ざっくりあらすじ(ネタバレ)
ガイとプリスカと子供2名の一家は、夫婦離婚前最後の旅行をするため、プリスカがネットで見つけてきたというリゾートホテルに。
息子のトレントは、ホテル支配人の甥イドリブと友達になり、暗号ゲームで遊んだりしていました。
素晴らしいホテルに感動しながら、次の日一家はホテルの所有するプライベートビーチへと向かうことに。
そこには他の宿泊客もいました。
楽しんでいると、息子のトレントが女性の水死体を発見します。
ビーチから出ようとする一同ですが、出ようとすると気絶してしまいます。
ビーチに閉じ込められてしまった一同は、「このビーチは何かおかしい」と感じるように。徐々に不穏な空気が流れてきます。
客のうちの一人の、高齢な女性が突然胸の痛みを訴え、亡くなってしまいます。
そして連れてきていた犬も死んでしまいます。
明らかに異変が起きているビーチ。プリスカは子供たちを見失ったので、探しに行きます。
するとそこにいたのは、大きく成長した子供たち。
実に7年近くの年月が経過したかのような様子です。
その後も子供たちはどんどんと大きくなり、大人たちは老化していきます。
そう、このビーチは、「超高速で老化していく」ビーチだったのです。
原因はおそらくビーチを取り囲む岩の壁にありました。
この岩の影響を受けずに脱出するには、何か大きな鉄の塊に包まれて外に出る必要があります。
これはレントゲンを撮るときの防護服の考えと同じです。
どんどんと大人たちは死んでいきます。ガイとプリスカは、これまでしてきた喧嘩のことももう忘れ、そんなことはもうどうでもいいと感じます。
ガイとプリスカも、そのうち亡くなっていってしまいました。
やがて2人だけになってしまったトレントとマドックス姉弟。途方に暮れていると、トレントが昨日友達になった支配人の甥、イドリブからの暗号文で構成された手紙を荷物の中に見つけます。
何の気もなしに、暗号を解いてみると「おじさんはサンゴがきらいみたい」と書いてありました。
これにピンときた姉弟。サンゴは金属を多く含んでいるため、この珊瑚礁を超えて進めば、このビーチから脱出できるはずです。
サンゴに向かって進む姉弟。
このビーチを監視してきた組織は、「サンゴに向かって泳いだ奴らはみんな死んでいく」ということで、今回の実験参加者も全滅として、実験を終了します。
次の参加者たちをホテルでもてなしていると、そこに姉弟がやってきます。
そしてホテルに泊まっていた警官に報告。
浜辺に残されていたノートから、行方不明者のリストを警察に提出したことで、ホテルと実験関係者は皆逮捕されました。
姉弟は親を失ったため、叔母の家へと向かうのでした。
ストーリー自体は平凡
B級パニック映画によくある「何人かが集められ、不条理な何かにさいなまれ、どんどん死んでいき、生き残るのはほんの少し」という超王道ストーリー展開。
つまらなくもならないが、大盛り上がりもしない平凡なストーリー展開と言えます。
ただ、設定の面白さと裏テーマ・裏メッセージが秀逸な作品となっています。
とはいえ、基本的には平凡な展開なので、そこまで評価は上がりませんでした。
裏テーマ「時間が経っても確かなもの」
本作の裏テーマは、ズバリ「時間が経っても確かなもの」だと思います。
本作の登場人物には、「いっときの浮気相手に本気になって、離婚しようとする母」や「浮気している妻にその話をしたいが、タイミングを伺っている夫」「白人であることと金があること、若く美しい妻を持っていることを威張る男」、「美しさこそが価値だと思っている女」…
などが登場します。
これらの事象は、すべて時の前では無意味です。
時が経っても輝くのは、いっときの感情に任せた浮気相手ではなく、心の奥で愛している人物です。
「美しさ」は飾りであり、時が経てば誰でも崩れていくものです。
金を持っていたり、地位のある男も、時が経てばボケていきます。
こうした、通常数十年単位の出来事の中でわかるはずの出来事が、このビーチでは1日で終わっていきます。
時は待ってくれません。そして、時の流れの中でも負けない「確かなもの」を考えるべきなのです。
「今日じゃなくていい」に甘えるな
現代は医療が発展し、平均寿命も伸びていっています。
今日やらなくても明日がある。今年やらなくても、来年がある。
10年後、20年後に…。
先延ばしにすることが常習化していきます。
しかし、本当は時間は残されていないかもしれません。
すぐに死ぬかもしれないし、事故に遭うかもしれないし、ボケてしまうかもしれない。
残された時間に甘えるのではなく、今、大切なことをすべきなのです。
という、意外といろんな映画で取り上げられるような、普遍的なテーマが採用されているのでした。
まとめ
今回は「OLD」をレビューしまシタ。
ぶっ飛んだ設定に、「時」が人を殺めていくという逃れようのない悲劇を描いた本作。
裏メッセージは実はとても普遍的な内容となっていて、誰が見ても納得することができる内容となっていました。
コメント