全く別物として見ないと、かなりキツい「転換期」
今回は、ドキュメンタル11の優勝者についてと、内容の感想を書いていきマス。
筆者評価:★2.4
【この記事を書いている人】
ドキュメンタル全シーズン(お蔵入り回や女子メンタルなどスピンオフ含め)を20周以上見ている、超がつくドキュメンタルファン。
好きな回はシーズン5
「ドキュメンタル・アンリミテッド」と題された今回は、正統なドキュメンタルの続編、シーズン11に位置します。
本作はイケメンタル・女子メンタルの成功から、芸人以外のメンバーでもドキュメンタルができるという考えから、芸人以外のメンバーで構成された大会となっています。
単刀直入に言って、ドキュメンタルや女子メンタルの様なものを期待して見ていいものではありません。
テンポ感・笑いの総量としては過去最低レベル。しかしこのシーズン11という「新しいドキュメンタル」の幕開けにこの「非芸人大会」を持ってきたことは、今後もこうした実験的な方向が続くことを意味するでしょうから、いちファンとして、しっかりと考えてみます。
参加メンバー・優勝者
参加メンバーは以下の通りです。
- 貴乃花親方
- 上地雄介
- 香取慎吾
- 高橋克典(イケメンタル経験者)
- 六平直政
- Hiro
- 綾小路翔
これに加え、オブザーバーとして松ちゃん、フット後藤、ケンコバ、フジモンが参加しています。
高橋克典以外は初出場で、通常回では参加者10名のところ今回は7名。
これに加えて、通常は参加者全員から100万円を参加料として徴収、賞金はその集まった1000万円の総取りでしたが、まさかの参加料なしでの賞金1000万円。
さらに制限時間は通常6時間のところ、今回は4時間。
そして優勝者は貴乃花親方となり、1000万円が手渡されました。
全体としての評価
全体としては、前述の通り「過去最低レベル」です。
これは何を持ってかというと、「笑いの総量」としてです。
本編の中でも、フット後藤が言っていたように「それぞれが別の方を見ていて、みんなで何かをという感じがない」これにつきます。
笑いに向けて、今はノるべきなのか、ツッコミを入れるべきか、メタ発言を避けるべきか、喋るべきか、こういった「チームワーク」が全くできておらず、各々の潰し合いと様子の見合い。
参加者の高橋克典が「前回(イケメンタル)と比べてテンポが悪くて、面白くはできなくてもどうにかしないとと思った」と言っていたのは、とてもよく現場を俯瞰で見れているからこその発言であったと思います。
それぞれ展開が先に伸びそうでも、広げる技術を持つ人がいないことや、「確実なツッコミが来る」保証がない怖さから縮こまっていたように見えました。
その証拠に、オブザーバーが参加したときには水を得た魚のように、香取や上地がボケに行っていました。
やはり「芸人」の凄みを感じるばかり。
さらに今大会を「ダメ」にしてしまっている致命的な要因として「飢えが無い」ことが挙げられます。
まず今大会参加において、100万円を支払うというリスクが一切ないことは、言うまでもなく参加者の緊張感を引き下げてしまいます。
そして何より、「お笑い・バラエティ」で食っていけなくていい人たち・ある程度「金と名声」を持っている人たちであることが本当に致命的。
簡単にいえば、結果を残す必要が無いということ。
そのせいで全体的な士気が低く、痛い・臭い・辛いなどの体を張る流れもうまく乗っていきません。
ドキュメンタルは、お笑いを土俵とする戦士たちが、名声と金、そしてお笑いの巨人「松本人志」に認めてもらうために戦う、文字通りの戦場でした。(出血・放尿・暴力・性表現なんでもありだった)
しかし今回は、「ドキュメンタルみてやってみた」みたいなレベルになってしまっているのです。
個人レベルでの評価
メンバーの立ち回りと共に、その評価を考えていきます。
■ツッコミ側
・Hiro(ボケ共にキレあり)
・綾小路翔(回し多め・企画出し多め)
■ボケ側
・高橋克典
・香取慎吾
・上地雄介(回し多め)
■大ボケ/爆弾
・貴乃花親方
■傍観/参加消極的
・六平
大まかにはツッコミとしてHiroと綾小路がポンポンと挟んで行き、他メンバーがボケていく印象。
綾小路と上地が「あれやりましょう、これとかどうすか」みたいな感じで進行していき、Hiroは一歩引いてはいるものの、何かはしている。
高橋と香取も要所要所で何かはしているが、空回り感が非常に高い。
問題は貴乃花親方で、ボケを超越した超大ボケで、流れをぶっ壊して「貴乃花の流れ」にしていく、ザコシばりの破壊力。
六平は何がしたいのかわからず、笑いの最も浅いところでジタバタしたかと思えば完全に飽きてスイッチオフ。途中からは暇そうに世間話をしたりしていました。
MVPは間違いなく貴乃花親方。
絶妙なタイミングで被せを行ったり、「オナラを早く出したやつが勝ちゲーム」でもしっかりとオナラを出していき、モノマネコーナーで誰からも「若かりし貴乃花親方」のフリがこなければ自分でやっていく機転の利き方。
文句なしの優勝です。
次点としてはHiroになるでしょう。
しっかりとテンポ良く、キレのあるツッコミをポンポンと挟んでいけていました。
実際Hiroのツッコミで香取と綾小路が笑いかけるシーンもあったりしました。
コント中はツッコミすぎずに、聞き返すだけなど、しっかりとお笑いの方に則ったやり方で立ち回っていました。
コーナーにも積極的に参加し、ずっと何か動いていましたし
父親森進一に汚い言葉や下ネタを言わせるグッズを持ってきたりと、身を切ってもいました。
今後のドキュメンタルでも呼ばれる可能性はあるかと思います。
ワーストプレイヤーは六平でしょう。
冒頭でザコシのネタをやったりと持ってきたものを次々披露し、みるみる失速。
後半は全く動かず。参加もせず。爪をいじってみたり、貴乃花に世間話をしてみたり。
あのドキュメンタルは終わった
5年前に始まったドキュメンタル。
あの頃は文字通りの戦場で、血と汗と尿を流し、オナホールを被ったり、放送禁止用語を多用したり、本気で悔しがったり、尊敬したり、芸人の結晶が見れる番組でした。
しかしお蔵入りになった経験+地上波での女子メンタル・イケメンタルの成功経験から、その影は一気に消えてしまいました。
良くも悪くも、ドキュメンタルは「家族のリビングで見れる番組」になってしまったのです。
僕は、地上波でできる番組はわざわざAmazon Primeでやらなくていいのにと思います。
松ちゃんも、その辺りの視聴者のニーズを感じるアンテナはもう壊れてしまったのでしょうか。
少し寂しいところです
まとめ
今回はドキュメンタルシーズン11をレビューしまシタ。
シーズン12以降ももしこの「非芸人大会」の流れを続けるとしても、2〜3名はお笑い芸人をプレイヤーとして投入してほしいところです。
特にツッコミで。
銀シャリの橋下や、とろサーモン村田など、割と常識人系のツッコミを入れてあげると、また一つ流れも良くなりそうなのでは無いかと感じるばかりです。
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