キーワードは「天使はいない」だ!
今回は、2021年公開の骨太クライムサスペンス映画「リトル・シングス」を解説しマス。
KOX評価:★3.2
出演:デンゼル・ワシントン/ラミ・マリク/ジャレッド・レト
監督:ジョン・リー・ハンコック
出演俳優が最高に渋い本作。
ラミは「ボヘミアン・ラプソディ」でフレディ・マーキューリーを演じたことで日本でも有名です。
演技力は申し分なく、ストーリーも僕は好きなタイプですが、いかんせんこのタイプの映画は万人受けは絶対無理ですね。笑
どんな映画?
- 連続殺人犯を追う、犯罪サスペンス映画
- アクションは無く、細かな心理描写を描く
- 多少グロい、脅かし系は無い(急にバン!とか)
- 明確な結末が無い。むしろバッドエンド
犯人は誰か?
本作でずっと追うのは5年以上前から起きている連続殺人事件の犯人。
5年前に事件から降りた警官「ディーコン」と、現役で事件を追う警部「ジム」の2人がこれを追います。
最重要容疑者として、ジャレッド・レト演じる不気味な男「アルバート」が上がり、2人はこれを追うわけです。
もちろん観客も、このアルバートが怪しいと思って見ているわけですが、映画終盤になるにつれ、アルバートは犯人ではないのではないか?と感じるようになってきます。
結局、激昂したジムが思わずアルバートを殺してしまい、さらに彼は犯人ではないだろうという結論に至ってしまい、映画は終了してしまいます。
では、犯人は誰なのか?
正直、この映画の伝えたいメッセージと、犯人が誰か?ということは全く別物なので、気にする必要はないですが、どうしても気になりますよね。
映画内ではわからないままになっているので、今一度しっかりと解説してみます。
映画内で語られた犯人像は、「白人で、知能が高く、自身の車を所持しており、現場に何も残さない。殺しに快感を覚えており、遺体を眺める性癖がある。大規模な移動も厭わず、獲物発見まで行動を続ける。」
この辺りでした。
正直言って、これが「犯人は誰?」の答えです。
どういうことかというと、犯人は「一切映画内に登場していない、どっかの白人の犯罪者」ということ。
実はあの新しく赴任してきた白人警部が犯人では…?とか、やはりアルバートが犯人だ!とか、そういった思考があるから犯人が気になってしまうのだと思いますが
真実は「全く映画内に登場していないやつが犯人」というシンプルなものです。
そうでないと、この映画のメッセージ「天使はいない」の意味が無くなってしまいますから。
「天使はいない」とは?
ディーコンがジムに送った手紙「天使はいない」とはどういう意味だったのでしょうか?
僕はこのワードが本作の伝えたいメッセージだと思っています。
まず、「天使」という言葉はなんとなく羽がはえた子供くらいにしか分からないものですよね。
■天使とは…
・神(キリスト)の使いで、神の言葉を人に伝える
・悪魔と戦う存在
・人間の歩む道を守護する
これが、天使というものの意味です。
すると、とてもよくメッセージの意味がわかります。
つまり、「天使はいない」という意味は「神の使いで、悪魔と戦い、人間の歩む道を守る存在など、いない」ということ。
ディーコンもジムも、正義のために犯人を追ってきました。
しかし彼らは、神に選ばれた存在でもなければ、人間の歩む道を正しく守れるような存在でもありません。
間違いを起こし続け、何が「正しい道か」を探る、人間という存在なのです。
しかしジムは、自分が警察という「犯罪と戦い、市民を守る存在」でありながら真犯人に追いつけず、さらに容疑者を殺害してしまったことにショックを受けます。
だからこそ、ディーコンは「天使などこの世にはいない=お前も天使ではなくただの人間だ」というメッセージを送ったのです。
まとめ
今回は「リトル・シングス」を解説しまシタ。
このタイプの映画では、映像としての力よりもシナリオや演技が大切になってくるわけですが、本作は「うーん、まあまあ」といった感触でした。
ジャレッド・レトの演技力がすごい!というレビューも散見されますが、まあ確かにそこは同意。
しかし、「不気味な男を演じれてすごい!」というレビューは、全くわかってない。
彼は「犯罪マニア」のただの男性。
つまり、「犯罪者っぽい犯罪者を演じている男」を演じているのです。だからこそ上手い。
演じている男という役を演じている。ここは楽しめるかと思います。
しかしその他のシーンの演技やセリフ選びは、至って普通で凡作といった感じ。
俳優らの次回作に期待です。
コメント
Dejligt indlæg, jeg har delt det med mine venner.
Thanks a lot!!