アメリカ最大の未解決事件
今回は2007年公開のクライムサスペンス映画「ゾディアック」をレビューしマス。
筆者評価は★3.8
出演:ジェイク・ギレンホール/ロバート・ダウニーJr/マーク・ラファロ
監督:デヴィッド・フィンチャー
超絶胸糞映画として知られる「セブン」の監督として知られる「デヴィッド・フィンチャー」の傑作、「ゾディアック」。
本作は、実際に1968年に発生した連続殺人事件「ゾディアック事件」をもとにしており、そのほとんどが事実に基づいています。
犯行後、犯行声明をマスコミや警察に送る「劇場型殺人」の典型で、50年以上たった今も「未解決」となっている事件です。
暗号が書かれた紙や、独特なシンボルマークを自称するなど、全米が震撼しました。
そんな事件を描いた本作ですが、テンポが良く物語が進行していくので、ストレス少なく見て行けました。
ざっくりあらすじ(ネタバレ)
ある日、若いカップルが車でいちゃついていると、不審な車が後ろに停ります。
女性の方は、不審な車に何か覚えがあるようです。
車から降りてきた謎の男は、このカップルをハンドガンで撃ちまくり、殺害しました。
新聞漫画家のロバートは、クロニクル紙で働いています。ある日クロニクル紙に1通の手紙が。
中には、「ゾディアック」を名乗る人物からの殺人声明と暗号シートが。
もしこのことを記事にしなければ、大量虐殺を起こすとの記載。新聞社数社にこの連絡は来ていたため、全米のこのことが知れ渡ります。
もちろん警察も動きます。
操作が難航する中、第2の被害者が。あるカップルが湖のほとりにいると、男が近づいてきます。
銃を持っているので抵抗できず、手足をロープで縛った2名。2人ともをナイフで滅多刺しにします。
しかし、男性の方は一命を取り留めました。
この事件も視野に入れ、捜査を続けます。しかしその後も、全米あらゆるところで起きる事件について、ゾディアックから「俺の仕業だ」と手紙が届くことで、何が本当で何が嘘かわからなくなります。
ロバートは、全ての事件や証拠を線で繋いでいきます。
過去、捜査線上に上がった「リー」という小児性愛者がほぼ確実に犯人というところまで嗅ぎつけましたが、状況証拠しか上がらず、物的証拠がないと逮捕できませんでした。
ロバートはゾディアック事件についての全てを書籍にし、出版。
世界中に「真実」を届けるのでした。
解決しない映画
実話・実際の事件をもとにしているため、最後まで事件の全貌が明らかになることはありません。
最も黒いとされた「リー」も、現在は亡くなっており、事件は完全に迷宮入り。
しかしこの、「解決しない」という点に、本作の良さはあります。
警察組織の「管轄」問題や、「令状」が必要となる問題、一般人の捜査には限界があること、などなど。
人間ドラマや、社会的な問題を投げかけてきています。
法を犯したものに対して、法を遵守して捜査しなくてはならない。これによって未解決になっていってしまう。
そしてこの事件の担当となっていった人物たちは、人生の多くに影響を受けてしまいます。
1人の犯罪者が、どれだけの人間の人生を狂わせるのかを考えさせる作品でした。
現代であれば…
1970年代の科学技術や、犯罪プロファイリング能力が非常にくく、さらにそれぞれの警察管轄内での証拠品や情報の共有が正常になされません。
これがゾディアック逮捕に至らなかった最大の原因でしょう。
これは警察が無能だとかそういったことではなく、当時の社会の「穴」をついた犯罪を行った「ゾディアック」が凶悪すぎたということでしょう。
ゾディアックの出現によって、警察間の情報共有には穴があるということと、その重要性を強く認識することができたと言えるでしょう。
「面白」くはない
現実的で、ダークな雰囲気、過度すぎる演出がない本作。
実際の事件に基づいているため、このような作風になっているわけですが
正直、うわあ「面白い」とはなれません。
こういった作品は「会話劇」や「犯人の不気味さ」が重要になってくると思いますが、基本的に会話劇が退屈です。
「普通の会話」がなされるだけで、味わい深さがありません。ここで退屈さが生まれます。
犯人の不気味さについては、そもそも犯人が誰かわからないので、表現できません。
犯人からの電話シーンは、かなり良かったと思います。
気色の悪い息遣いと、発言。これらはかなり高評価です。
まとめ
今回は2007年公開の「ゾディアック」をレビューしまシタ。
ゾディアックに目をつけられた人間がもっと恐怖している様子を描いて、観客の恐怖心を煽っても良かったのではないかと思いますが、
逆に、実際に目をつけられた人たちはこのくらいの熱量でゾディアックを捉えてたのかなと考えることもできました。
しかしどうしても退屈さがつきまといます。そのため評価は伸びず…。
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