「人間」をめぐる物語
今回は、SF映画の金字塔「ブレードランナー」をレビューしマス。
筆者評価は「ブレードランナー」★4.0
「ブレードランナー2049」★4.5
超有名SF映画の金字塔である、ブレードランナー。
1982年公開の「ブレードランナー」、2017年公開の「ブレードランナー2049」の2作を続けて鑑賞しましたが、やはり完成度が高く感動しました。
2作まとめてレビューするのは、この2作につながりがあり、2作が合わさることで完成されている作品であるからです。
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ざっくりあらすじ(ネタバレ)
【ブレードランナー】
人造人間である「レプリカント」は、人間にかわって危険な作業や汚れ仕事をする、奴隷的存在。
稀に、反抗するレプリカントがいます。これを取り締まる特殊警察が「ブレードランナー」です。
ブレードランナーであるデッカードは、逃亡したレプリカントを追跡し、処分します。
捜査の道中出会ったレプリカント、「レイチェル」と恋に落ちます。
逃亡したレプリカントとのやり取りの中で、ブレードランナーとしての仕事を放棄し、レイチェルと逃亡するのでした。
【ブレードランナー2049】
デッカードがレイチェルと姿をくらませてから30年後。
ブレードランナーでレプリカントのKは、逃亡したレプリカントを解任(処刑)する任務につきます。
農園に住むレプリカントを処刑したのち、木の下に花が添えられているのを発見します。
土の中を調べると、人骨が埋められていました。調査すると、妊娠していた女性であることがわかりますが、残っていた毛髪からDNA検査をしたところ、レプリカントの女性であることがわかります。
レプリカントが生殖を行えると、世界がひっくり返ると考えたロス市警は、生まれてきた子供を解任するよう、Kに命じます。
Kは捜査の中で、自分こそがその「子供」なのでは?と考えるようになります。
捜査の末、デッカードと会うことに成功したK。子供は、デッカードとレイチェルの子供でした。
生まれてきた子供が「女の子だった」ことを知り、Kは自分はやはりレプリカントだったと理解します。
Kはデッカードを娘の元へ送り、息絶えます。
自分が何を望むか
あっぱれと言わざるを得ないのが、「自分は人間なのかレプリカントなのか」という懐疑と決意が、2作に共通してみられる点です。
1作目では、デッカードは「自分は人間」→「もしかして自分もレプリカントなのでは?」→「実は人間だった(2作目でわかる)」と懐疑が発生します。
それをもって「レプリカントであるレイチェルと一緒にいたい」という、決意が見られました。
2作目のKは、「自分はレプリカント」→「もしかして自分は人間なのでは?」→「やはりレプリカントだった」と懐疑が決着しています。
その上で、「人間であるデッカードと、娘を会わせてあげたい」と決意するのです。
人間がレプリカントに同調する1作目とレプリカントが人間に同調する2作目。この両面から「人間」を考えさせられる本作は非常に素晴らしいです。
「自分の正体はなんなのか」という懐疑の中で、デッカードとKの両名とも、決着しているのは「自分がどうしたいか」という点です。
デッカードは、自身が人間であろうとレプリカントであろうと、「レイチェルと共になりたい」という自分の意志を優先しました。
Kもまた同じで、自分はどうしたいか。を優先しました。
命令や責任に背き、自分の気持ちを優先すること。これは奴隷からの解放、自由であり、元も人間らしい行為と言えます。
人間かレプリカントかは重要ではなく、「自分が何を望むか」がそのものの存在を決めるのです。
愛とは何か
1作目では、デッカードは4年の寿命しかない、人造人間であるレイチェルに惹かれます。
もちろん、頭ではレイチェルは造られた存在であり、いわば偽物であることはわかっています。
それでも、レイチェルとの関わりややり取りの中で芽生えた感情はデッカードにとって「本物」でした。
だからこそ、デッカードはレイチェルと共に逃げたのです。
2作目では、KはホログラムのAI、ジョイと暮らしています。ジョイは、一般向けに量産販売されているツールです。美人と疑似生活を過ごせるゲームのようなものです。
孤児であるKにとって、ジョイは心の拠り所でした。Kとジョイは惹かれ合います。
肉体を持たないジョイは、娼婦の体を借りることで、Kと寝ます。
この後のシーンで、「ジョイ」の広告で「ジョイはあなたの思うがままです」とキャッチコピーがなされます。
ここで、Kとジョイとの関係は幻想かもしれないという懐疑が生まれます。
が、やはりここでも重要になるのは「自分がどう思うか」。
Kとジョイが過ごした夜は、「本物」でした。
愛は、本人にとって本物と思えるものに宿るのです。
冒頭の目
映画冒頭に登場するこの目。
誰の目か語られずに映画が終了しマス。
一体誰の目立ったんでショウ?
美しい緑色が印象的なこの目。
映画終盤で、デッカードがレイチェルのクローンと対峙した際に、クローンのレイチェルの目を見て「レイチェルの目は緑だった」と発言します。
クローンのレイチェルの目は緑ではありませんでした。デッカードの愛したレイチェルの目は、緑でした。
この発言は、冒頭の目の色とつながります。
この映画で「緑色の目」を持つ人物は2名います。
それはレイチェルと、娘であるアナ博士です。
レイチェルは出産を機に亡くなっているため、「冒頭の目」の持ち主はこの「アナ」であることがわかります。
つまり、映画を通して探し求められる、「デッカードとレイチェルの子供」が映画冒頭の目の持ち主であったということです。伏線?チックなものです。
Kの目も緑に近い気もしますが、Kは二人の息子ではないことが明かされていたため、冒頭の目の持ち主はアナで間違いないでしょう。
まとめ
今回は、SF映画の金字塔「ブレードランナー」と
続編の「ブレードランナー2049」をレビューしまシタ。
「ブレードランナー2049」には賛否両論があるようですが、僕はとても好きな作品でした。
1作目のブレードランナーの意思として「余白」の多い映画となっていました。
セリフが非常に少なく、観客に多くを考えさせる映画となっていながらも、「不安」となってしまうような要素にはきちんと答えを用意している。
35年越しに明かされる真実という点にも痺れました。
映像や世界観も1級品のおすすめ映画です。
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