【映画レビュー】ネトフリ版「THE GUILTY」【ネタバレ感想考察】

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想像力をフルに楽しむ

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今回は2021年公開のスリラー・クライム映画「THE GUILTY」をレビューしマス。

筆者評価は★4.1

主演:ジェイク・ギレンホール

監督:アントワーン・フークワ

本作は2018年に公開された同名のデンマーク映画のリメイク作品で、元となった作品も高評価を受けている作品でした。

本作の最大の特徴は、映画全編を通して911緊急通報司令室「のみ」が映され、事件現場の様子は電話から受け取る情報のみとなっている点です。

映画主人公である「ジョー」と観客とが受け取る情報が同じになることで、限界まで観客とジョーの感覚が一体化し、引き込まれる作りとなっています。

全編PCのデスクトップ上で進行する「serch」のような作りで、一見すると退屈思想に聴こえるかもしれませんが、全体を通して手に汗握る良映画です。

ざっくりあらすじ(ネタバレ)

911オペレーターのジョー。今日は発生中の山火事のせいでいつにも増して忙しい様子です。

かかってくる通報のほとんどは、くだらない内容でうんざり。

ジョーのスマホには女性記者から電話がかかってきます。「何も話すことはない」と話すジョー。

電話を切ったところでまた新しく911が。相手はエミリーという女性で、泣きながらかけてきています。

「どうしました?」というと「話したかっただけよ」と返してくるので、イタズラかと思うジョーでしたが、違和感を感じます。エミリーは子供と話すフリをして助けを求めてきているのでした。

会話から「白いバン」に乗せられていることを理解したジョーは、警官に白いバンを探すように言います。

ジョーは、深夜ですが妻に電話をかけます。明日予定されているジョーの裁判に関して話をします。

娘と話したい言うジョーでしたが、深夜だからと言う理由で断られてしまいます。

エミリーの家に警官が向かうと、そこには息子のアビーが。奥の部屋には弟オリバーが血だらけで息をしていないのでした。

これを知ったジョーは激怒。電話番号を調べたジョーはエミリーの夫「ヘンリー」に「お前は死刑だ!!」と怒鳴ります。

ジョーはエミリーに電話をかけ、「シートベルトをして、思い切りサイドブレーキをひけ」と指示を出します。

しかし失敗。エミリーはトランクに閉じ込められます。

トランクで何か武器になるものを見つけ、それでヘンリーを殴れと支持するジョー。

これは成功します。

その後もエミリーはパニック状態。ジョーは子供の話をすることで彼女をなだめようとします。

するとエミリーは「オリバーは蛇に苦しめられていて、それを私がお腹から出してあげた」と話し始めます。

絶句するジョー。オリバーを殺めたのは、エミリーでした。

ヘンリーに電話するジョー。訳を聞くと、お金がなくなったことを理由に精神安定剤を切らしたところ、エミリーの様子が悪化していったのとのことでした。

エミリーは、オリバーの元へ行く」と飛び降りを図ります。

必死で止めるジョー。そこでジョーは「自分も青年を銃殺したしまったことがある」と告白します。

ジョーはその件に関して裁判をしているところでした。これまで無罪を主張してきたジョー。

エミリーは無事警官に保護されます。オリバーも瀕死でしたがICUで一命を取り留めたとの連絡が。

ジョーは、自分の罪と向き合うことを決意。記者に連絡をして、罪の告白をするのでした。

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電話の使い分け

本作は、全編を通して電話の向こうから聞こえてくる情報でのみ物語が進行します。

ジョーはオペレーターとして、ヘッドフォンで話す時と「ジョー」として自身のスマホで話す時の2種類を使い分けます。

自身のスマホで、電話をかけることは違反行為ですがジョーはそれを行います。

実はここで、「自身の思う正義のためには法を犯す人物」と言う像が描かれています。

警官として勤務中に青年を銃殺してしまったのも、おそらくこういった理由があっての過失であったと理解できます。

想像力がフル稼働

作中の99.8パーは電話室のジョーが映るだけ。だからこそ現場の様子は観客である我々が想像することになります。

いわば、映画の大部分が観客任せの余白だらけの作品であり、小説に近いものがあります。

ゆえに100人が見れば100通りの映画となります。

それでありながら、ジョーの行動と観客の「とりたい行動」が等しくなります。

この辺りの作り込みが素晴らしいです。

本作は非常に現実的な「事件」と対峙します。霊的な存在やヴィラン、SFなどが登場しないため、生々しい犯罪との対峙を体験できます。

ストーリーのまとまりも非常に良い

本作は、本流である「エミリーの誘拐事件」と支流である「ジョーの罪」が流れています。

エミリーの誘拐事件を通して、自身の行き過ぎた行動や、やり過ぎの正義感を自覚し、罪を認めて「ジョーの罪」を認める。

題名である「THE GUILTY」とはジョーのことだったんですね。

序盤で説明なくジョーに女性記者から電話がかかってきて、これを切ります。これがいわば伏線的なものになる訳ですが、説明がなかった点が良いです。

現代作品(特に邦画)だと、モノローグなどで「俺は今、裁判にかけられている…」みたいなのがありそうなところです。

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アメリカの社会問題も見える

本作にはアメリカの抱える社会問題が盛り込まれています。

言及こそされませんが。

ドラッグや売春婦被害などの「くだらない」911通報で、アメリカでは雑多な犯罪が横行しまくっている様子が見て取れます。

これに加え、エミリーはお金がなくなったことが理由で薬を投与できなくなり、事件へと繋がりました。

これはアメリカの医療費の高さが強く関わってきます。これによって発生してしまった事件と言えるでしょう。

また、受け取る情報が全て「真」ではないと言うこと。メディアの問題も盛り込まれています。

ジョーは受け取った情報を自分の中で消化し、行動に移してしまいました。

メディアは情報を「誰かに整形されたもの」です。これを多角的に判断すること。それが現代社会には必要なのです。

まとめ

a fox lying on a rock
Photo by Roy S. on Pexels.com
KOX
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今回は2021年公開の「THE GUILTY」をレビューしまシタ。

ジェイク・ギレンホールの演技力はさすがで、基本的に彼の演技で持っている映画です。(いい意味で)

彼の他の映画としては

こちらが有名です。こちらも併せて是非。

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