悪魔との取引
今回は2020年公開のNetflixオリジナル映画「ザ・コール」をレビューしマス。
筆者評価は★3.8
主演：パク・シネ
監督：イ・チュンヒョン
普段あまり韓流作品は見ませんが、なんとなく興味をそそられたので観てみました。
確実にB級ではあるものの、そこそこのクオリティでしっかり楽しめました。
もう少し犯人のキャラクターを深掘って欲しかったところですね。
ただ、本作のリード文「殺人鬼からの電話・・・」ですが、本作の前半部分の楽しみを台無しにしてしまっている最低なネタバレですね。ネトフリ、大丈夫か…。
ざっくりあらすじ（ネタバレ）
母親の入院によって無人となった実家に帰ってきたソヨン。
ソヨンは幼い頃、母の不注意を原因として発生した火事によって父親を失っているため、母親のことを嫌っています。
ソヨンは無人となった家で作業を始めます。すると固定電話がなります。
出ると、女性の声での間違い電話でした。しかしその後も何度もかかってきます。
ソヨンは不気味な地下室を発見し、そこで「ヨンソク」という女性の日記と写真を発見します。
その写真を近くに住むソンホおじさんに見せると、20年前に存在した女性だったことがわかります。
日記の内容と、電話口の女性の言動が一致していることから、ソヨンは電話を通して20年前の女性と会話したことがわかりました。
電話を通して、仲良くなっていく二人。
ヨンソクから「あなたの父親を救ってあげようか」と提案されます。
父親が火事で死んだのはちょうど20年前でした。
ヨンソクはソヨンの家へと向かい、火事を知らせて父親を救うことに成功しました。
過去が改変されたことによって現世の状況は変わり、家はみるみるうちに美しくなり、ソヨンの身なりもとても裕福になります。裏庭に行くと、当たり前のように父親と母親が庭作業していたのでした。
その後ソヨンは、ヨンソクの名前を検索したところ、彼女の養母が「除霊」を理由にヨンソクを殺害したという記事を発見。
この事実をヨンソクに伝えることで、殺害は回避されます。しかし逆にヨンソクは養母を惨殺してしまいます。
ヨンソクは、恐ろしいシリアルキラー・サイコパスだったのです。
ソヨンは父を救ってくれたヨンソクに感謝しながらも、家族との暮らしが幸せすぎて、ヨンソクからの電話を蔑ろにしてしまいます。
これに腹を立てたヨンソク。ソヨンの父親を殺害してしまいます。それに加えて、少女ソヨンを人質に取ります。
ソヨンの世界はまた改変され、父親はいなくなってしまいます。
さらに自分の家には大量の冷蔵庫がずらりと並んでいます。冷蔵庫の中身は「遺体」。
過去が改変されたことで、20年間の間にヨンソクは捕まらずに大量の人を殺害していたのです。
少女ソヨンが失踪したことで、ソヨン母は警察と捜索に乗り出します。
ヨンソクの家についたソヨン母と警察。警察はヨンソクに殺害されます。
逃げ惑うソヨン母は、通報するために電話を取ります。繋がったのは現代ソヨン。
「逃げて！」と叫ぶソヨン。ソヨン母はヨンソクと死闘を繰り広げ、2人で階段から下に落ちていってしまいます。
また世界が改変され、ソヨン母とソヨンは二人で手を組んで歩きます。
ここで映画は終了…かと思ったらまだ続きが。
実は2人が家を訪ねてくる前に未来ヨンソクが過去ヨンソクにそのことを伝えていました。
「電話を離さなければ、改変できる」との教えを守った過去ヨンソク。
階段から落ちた後に目を覚まします。
また現代が改変され、母親の姿は消えていってしまいます。
ソヨンはあの地下室の椅子に、白いシーツを被されて座ってるのでした。
「絶賛の嵐！最高のスリラー！」…？
方々で本作のレビューされているのを見ると、素晴らしいクオリティで！演技がすごい！などの高評価が見られます。
正直言って僕の場合はそこまでだなあ…。という印象。
とはいえ、世界中で大絶賛の「イカゲーム」も僕は低評価なので、世間とのずれがあるのかもしれません。
僕の肌感覚としては、頭に「韓国」がつくと途端に世間の評価が高くなっているような気がしてならないのですが…。
もちろんストーリーも退屈なく、設定もある程度斬新で面白いかとは思います。
ただ、もう一つ・二つ足りない印象で、どうしても安い雰囲気が払拭しきれていません。
ソヨンは悪魔に魂を売った
ソヨンは「ヨンソク」という悪魔に、「父親を生き返らせてほしい」という願いを叶えてもらう代わりに、魂を売った。
そう考えると、バッドエンドで終わってしまった理由はとてもわかりやすく、メッセージもシンプルに理解できます。
人命を復活させることは、禁忌。
これを望んでしまったソヨンは、結局その父親も・母親も失い、自分の生活も失ってしまうわけです。
しかも父親は、事故による焼死から、殺人鬼による頭部切断という、最悪な死に方になってしまいます。
母親も殺人鬼に殺害されてしまい、おそらくソヨンもそうなってしまうでしょう。
悪魔は、自分を悪魔とは名乗らず接近してくるものです。
人の心の弱みに近づき、地獄へと連れていく存在として、ヨンスクは紛れもなく悪魔と言えるでしょう。
注目すべきは「母の病気」
当初「脳腫瘍」によって余命僅かで入院していた母。
父親が助かることによって改変された現代では、普通に生活していました。
「父親が助かること」と「母の脳腫瘍」には相関関係がないように思われますが、なぜ母は健康に生活していたのでしょうか。
それは娘のソヨンが大きく関連しています。
娘ソヨンは、母親の不注意で火を消し忘れ、火事となり、父親を失ったと思っています。これによってソヨンは母親を毛嫌いしています。
（実際は娘のソヨンがガス栓を開けたことによって火事が起きていました）
父親の生存ルートによって、この「娘からの母親への嫌悪」が間接的になくなりました。
つまり、母が脳腫瘍を患ったのは、ソヨンに嫌われてしまったストレスと、真実をソヨンに伝えられないストレスとのWパンチが原因だったと推察できます。
映画全編を通して、ソヨンが全ての元凶と言ってもいい、残酷なストーリーですね。
イケメン監督とヨンスクの熱愛！
本作監督「イ・チュンヒョン」とヨンスクを演じた「チョン・ジョンソ」は、本作をきっかけとしてお付き合いをしているとのことです。
猟奇殺人鬼を演じた女優に手を出すなんて…！
そんなことより、チュンヒョン監督、俳優かアイドルみたいな甘いマスクですね。
何と言っても若い！
この若さでネットフリックスでオリジナル映画を撮れるのは素晴らしい実力ですね。
まとめ
今回は「ザ・コール」をレビューしまシタ。
確かに悪くはないですし、しっかり楽しめる作品ではありますが、傑作と呼ぶには程遠いクオリティ。
監督はまだまだ若いようですので、今後の活躍に期待です。
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