まさに映画のようなシリアルキラー
今回は、Netflixオリジナルドキュメンタリー「殺人鬼との対談」シリーズから、「テッド・バンディ」編をレビューしマス。
筆者評価は★4.1
「シリアルキラー」という言葉の語源となった男、テッド・バンディ。
俳優のように整ったルックスと、IQ124という高い知能、かつ人当たりの良いユーモアのある雰囲気。
しかし彼は、30人以上の女性を残忍に殺害、強姦した文字通りのモンスター。
2回の脱獄成功や、裁判における自己弁護、獄中子作り・出産など、その全てが映画のキャラクターのような、全米で最も悪名高い犯罪者。
本作は1989年に処刑されるまでの、そんなテッド・バンディという人間について追ったドキュメンタリーです。
少し過度な演出チックな箇所もありましたが、基本的には良質なドキュメンタリーでした。
被害に遭われた女性らの遺族が見たら、面白おかしく編集しやがって!と思うかもな〜。と思いながら見ました。
これが本物のシリアルキラー
シリアルキラー(英: serial killer)とは、一般的に異常な心理的欲求のもと、1か月以上にわたって一定の冷却期間をおきながら複数の殺人を繰り返す連続殺人犯に対して使われる言葉である。ほとんどの連続殺人は心理的な欲求を満たすためのもので、被害者との性的な接触も行われるが、動機は必ずしもそれに限らない。猟奇殺人や快楽殺人を繰り返す犯人を指す場合もある。
自らの犯行であることを示す手口やなんらかの固有のサインを残すこともあり、その被害者たちの外見や職業、性別などに何らかの共通点が見られる場合もある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/シリアルキラー
テッドという圧倒的な「異常」を認めるまで、シリアルキラーという言葉は存在していませんでした。
正真正銘、初めてシリアルキラーという言葉を発生させた男です。
テッドは、女性になんらかの嘘をついて近づき、殴ったりナイフで刺したりして殺害。死後強姦をして遺体を山に埋めます。
この一連の作業に対して、テッドは被害者に対してなんの感情も抱きません。
テッドは、自身で「頭の中で声がする。女性を求める声がして、抗えない」と話しています。
テッドが殺めた女性は皆、同じようなルックスでした。
ここまでの人数が、同じ手口で殺害されていながら、「なぜ捕まらないのか」と思うかも知れません。
本作を見ればわかりますが、テッドは頭が良すぎました。
当時の犯罪捜査ではDNA検査などがなかったため、現場に残された証拠からでしか検挙できませんでした。
加えて、警察の州間での情報共有がなされておらず、そこを逆手に取り、あえて州を跨いで殺人を犯して来ました。
これはゾディアック事件と同じ状況です。
テッドは、この隙間を縫って犯罪を重ねていきました。
この知能の高さと、慈悲のなさ、残虐性。それまでの犯罪ケースには存在しない、「シリアルキラー」です。
テッドの凶悪性を表す4つの事象
テッドは、ダークナイトのジョーカーや、切り裂きジャックのように、常軌を逸した犯罪者です。
まず「2回の脱獄」
1回目の脱獄では、テッドは逮捕され、裁判所でやり取りをしている際に護衛の目を盗み、地上7mの窓から飛び降り、脱走。
10日間逃走し続けました。見つけた小屋に侵入したり、盗んだ車で逃走したり。
足は水膨れだらけになり、何より逃走前から比べて10kgも体重が落ちており、その見た目は全くの別人となっていました。
2回目の脱獄では、刑務所にて、夜出した食事を朝になっても一口も食べていないことを不審に思った看守が、寝ているテッドのブランケットをめくると、そこには本の山があり、テッドの姿はありませんでした。
天井には通気口の穴が空いていました。
テッドは、出される食事をできるだけ食べないようにし、獄中で体重を10kg以上落としました。通気口を通るため、体を細くしたのです。
通気口から上の階にある看守の部屋に入ったテッドは、看守の服に着替え、正面から出ていくのでした…。
そしてテッドは目の色が変わります。
普段青い目をしているテッドですが、だんだんと様子がおかしくなると、目が黒くなっていったのです。
周辺の友人や家族と対峙している時の目は、青い目。
女性を次々と殺害するときは、黒い目をしていたのです。
テッドの異常な「女性への執着」
テッドの有罪判定に最も決め手となったのは「歯型」でした。
これは、12歳の少女の遺体の性器に非常に深く残されたもので、2度、人間の可能な限りの力で噛まれたものでした。
しかもこれは、2回目の脱獄後におきた事件でした。
テッドは単純に女性を支配したいという領域を超えており、女性器を全力で噛みちぎるという、人間の行動とは思えない、まさに化け物のような犯罪を犯していたのです。
ここまで異常な犯罪を30件以上犯しておきながら、裁判で自分で自分を弁護しました。
自身が、死刑になるかならないかという裁判を、自身で弁護した裁判でこのグッドポーズができる精神力。
俄には信じがたいです。
自分で自分の犯罪について、証人に質問をし、自分で裁判長に無罪を主張しました。
ここまで映画的な犯罪者がいることは驚愕としか言いようがありません。
まとめ
今回はNETFLIXの「殺人鬼との対談」シリーズから、テッド・バンディ編をレビューしまシタ。
これまで、サイコパスの犯罪者を取り扱う映画作品を見るとき、「言ってもこんな化け物みたいな犯罪者はいないだろうな」とか、「脱獄って実際こんな簡単にできないでしょ」とか思ってました。
しかしテッド・バンディの存在を知ったことで、映画的な犯罪者が現実に存在しているということが知れたので、今後もっとリアリティを感じてクライム映画を見ていけそうです。
コメント