やり過ぎで粗末さが目立つが「挑戦的」
今回はネトフリ韓国発のアクション映画「カーター」をレビューしマス。
筆者評価:★2.5
主演:チュウォン
監督:チョン・ビョンギル
今回は今ノリに乗っているネトフリ韓国から発表された「カーター」です。
映画冒頭から完結までの2時間、戦いっぱなしの脳筋バリバリアクション映画で、撮影方法などでかなり攻めているなという印象でした。
とはいえ、あまりにも演出過多で、二郎系の全部載せみたいな感じ。
好きな人は好きだろうなあとは思いながらも、途中途中でたまに垣間見える「雑さ」が気になってしまいました。
ざっくりあらすじ(ネタバレ)
記憶喪失の状態で目覚めた男、カーターはなぜか血まみれになっている部屋にいます。
そこへCIAが突入してきて、「チョン博士はどこだ」と問い詰めます。
何が何だかわからないカーターですが、耳の奥から聞こえてくる声に従ってその場から逃走。
声によると、彼にはデバイスがいくつか取り付けられており、それによって声が聞こえたり、記憶がなくなっているとのことでした。
CIAに追われながらも、「味方」を名乗る韓国人女性の声に従います。
世の中は今「ヒト凶暴化ウィルス」によるパンデミックの真っ最中。感染すると髪が抜け、人間性を失い、暴力的になります。
このウィルスに対抗する「抗体」を娘の中に作り出したチョン博士は、何者かに拉致され、行方がわかっていませんでした。
娘のハナはCIAが保護していました。
カーターは声に従ってこのハナをCIAから奪還します。そしてチョン博士がいるとされる「北朝鮮」へのハナ護送任務にあたります。
無事北朝鮮に到達したカーターでしたが、人民軍に捕獲されてしまいます。
そこにはカーターの妻と娘ユニがいました。
人民軍の本当の狙いはウィルスを散布しておきながら、自国のみがワクチン(ハナ)を持つことによるクーデターだったとわかったカーターは、妻と娘、チョン博士とユニを連れて逃げます。
そこでカーターは後頭部の十字傷を開き、記憶復旧デバイスを接続。全てを思い出します。
元々カーターはCIA側の人間であり、スパイとして北朝鮮に入っていました。そこで妻をもらうことになりますが、この女性と本当に恋に落ちてしまったのでした。
党にそのことを追求されたカーターは、最後のチャンスとしてCIAからハナを奪還することで取引。
そして記憶を消すことでCIAに寝返らないようにしたのでした。
北朝鮮の手を逃れて列車に乗り込んだ一同。
「私たちどこへいくの?」というつぶやきの直後、前方の橋が爆発で吹き飛ぶのでした。
ノンストップアクションも考え物
本作は、おそらくジョン・ウィックとか先日公開されたばかりの「グレイマン」のような、次から次へと刺客がやってくるのを打ち負かしていく、ノンストップアクション系映画を意識して作っているとは思います。
しかし、これも考え物で、あまりにノンストップにすることに主眼を置きすぎていて、動きが大味・大雑把になってしまっていました。
「魂はディティールにこそ宿る。」
カメラがドローン視点でぐわんぐわんと常に移動しており、演出も過多、稚拙なCGの多用によって非常に見づらい画面になってしまっています。
「ノンストップアクション」を売りにするのも考え物で、観客が本当に求めているのはなんなのか。ということを考える必要があると思います。
「ノンストップ」であればなんでもいいというわけではないのは明白です。
とはいえ、試みとしては面白かったとは思います。
映像と映像を綺麗に繋ぐことでワンカット風にしていること、ドローンの多用とCGの多用で、今まで見たことのない角度からアクションを見れたこと、などは新しい撮り方として挑戦的でした。
CGが安くて雑なのが残念
撮影方法で見づらいというのは置いておいて、もっと残念だったのはCGが非常に安っぽかったことです。
(専門家ではないのでCGという表現であっているのかわかりませんが)
CGに入れ替わった際の人物やオブジェクトの挙動がおかしい箇所が複数箇所あり、非常に冷めてしまいました。
例えばバイクが最後に爆発で飛んでいくシーン。明らかに一台、物理法則を無視した挙動をしており、「作られたもの」である感がかなりあります。
カーターがビルからビルへジップラインを使用するシーンも、人間の肉体的な動きではなく「オブジェクト」としてカーターがはめ込まれている感が強い。
ゲームでいうところの「バグ」のような挙動がある。ということです。
ここまで極端なものはないものの、端々に「ゲーム的」な妥協せざるを得ない挙動が潜んでおり、全体的に安っぽい映画になってしまっています。
主演チュウォンは超かっこいい
主演を務めたチュウォンですが、声やビジュアルなど、本作にピッタリで超カッコいい。
冒頭の風呂場での血まみれの銭湯もかなりビジュアルとしての力があって、素晴らしかったです。
体の刺青も、筆で書かれたようなデザインでgood!
アクションもしっかりできていたので、今後もアクション俳優として活躍していってほしいですね。
まとめ
今回は「カーター」をレビューしまシタ。
最後、「私たちはどこへいくのか」という問いと共に線路が崩れていく姿は、「この世界は崩壊へ向かっている」というメッセージとして取れるかもしれません。
しかし、あの映像を見ても、「カーターならなんとかして生き残るかもしれない」という希望を慣習が持てたのなら、この世界はまだ希望があるのかもしれません。
そこまでの力と生存力、カリスマがカーターに存在したのか、その答えは本作を見たあなたの中にあります。
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