コケた1作目からの挽回はあり得るのか
漫画「鋼の錬金術師」の誕生20周年を記念し、実写映画「鋼の錬金術師 復讐者スカー・最後の錬成」の2本が連続公開されることが告知されました。
2017年に公開された、実写映画1作目「鋼の錬金術師」の世間の評価はひどいものでした。
「コスプレ大会」「内容がペラペラ」「文化祭の出し物」「ド三流映画」など辛辣なコメントが並んでいます。評価は以下の通り、2.5〜3.3ほど。
続編である2作の予告PVのコメント欄が閉鎖されているのも、あらかた理由は予測できますね。
映画に出ているメンツ、山田涼介や本田翼などのファンが高評価を押しているとすると、映画自体の評価は2.0あたりになりそうです。
僕も、劇場で見るのはお金がもったいなくなりそうだと判断し、ネトフリとかにきたら見よう〜と思い。やっとネトフリに本作を見てみましたが、あまりのひどさに途中で見るのをやめてしまいました。
劇場に2000円弱払って足を運んだ方のことを考えると、胸が痛みます。
とはいえ、僕自身は鋼の錬金術師が大好きです。本音を言えば、もし映画化するのであれば成功してほいいという思いはあります。
ですから今回は、悲観的な立場からではなく、「どうしたらいいか」について考えてみます。
今回は、原作が漫画で実写化が成功した映画と失敗した映画について比較し、ハガレン2作目が成功するための条件を探っていきたいと思います。
「るろ剣」と「ジョジョ」
実写化が成功した作品の代表としては、佐藤健主演の「るろうに剣心 シリーズ」が挙げられるでしょう。
評価は以下の通りです。
評価はだいたい4くらいですね。原作がある実写映画では、奇跡に近い評価ではないでしょうか。
るろうに剣心は、ストーリーもそこそこのクオリティにまとめ上げられており、主演の佐藤健をはじめとした俳優らのアクションが非常に評価されている作品。
原作を知らない層からのウケもかなり高く、高評価がつきました。
対して実写化が失敗した作品としては、正直、1作目のハガレンがそれに当たってしまうのですが、他の作品で探してみます。
そうなるとパッと思い当たるのは山崎賢人主演の「ジョジョの奇妙な冒険」でしょう。
評価は2.8ほど。鋼の錬金術師1本目とかなり近い評価になっています。
今回は、なぜ同じ漫画の実写化でもここまでの評価の差が出たのか。これを知ることで、これ以上実写映画の屍を出さずに済むのではないでしょうか。
そもそも、なぜこういった「屍」が多い原作漫画の実写化という危険な旅に出ようとするのでしょうか。
そもそもなぜ実写化という危険な船旅をする?
そもそも、なぜこの日本において、ひどい評価を受けたりする実写映画化という危険な船旅に出るのでしょうか。
そもそもハリウッド映画とは違い、製作費がない日本では、漫画等の世界観を表現するような衣装や美術、CG技術が満足に用意できません。それであれば、実写映画化という試み自体が良くないわけです。
しかし、るろうに剣心、銀魂、キングダム、斉木楠雄のΨ難、ジョジョ、ハガレン… 。実写化映画の作成は後が絶えません。
結論、なぜ実写化映画がなくならないかというと、「カネになる」からです。
コケにコケたと言われているハガレン実写化1作目も、その興行収入は11.1億円。★3.8ほどと評価の高い日本映画、菅田将暉主演の「アルキメデスの大戦」が19.3億円ですから、正直いってそこまでの差は出ないのです。
こと日本という激狭マーケットでは、原作ファン+ジャニーズなどのアイドルファンを確保できるだけで、「そこそこの金になる作品」が作れるんですね。
つまり、評価=カネではないわけです。これが「屍」がいつまでも増えていく理由です。
実写化成功作品の特徴
では、なぜ「るろうに剣心」は成功できたか。について考察します。
その理由は以下の3つにあると思います。
- 舞台が日本であったこと・登場人物の多くが日本人であったこと
- 原作を知らない人にも、ストーリーが明瞭にわかったこと
- CGを多用しなかったこと
まず1点目「日本であったこと」
これはるろうに剣心の舞台が大正時代の日本であり、主人公をはじめとしたほとんどのキャラクターが日本人であったことが、作品全体を通しての「コスプレ感」を軽減し、作品に入りやすくしてくれていました。
2点目、「ストーリーが明瞭であったこと」
かつて◯人マシーンとして大量の人の命を奪ってきた主人公が、もう命は奪わないと誓った逆刃で敵に立ち向かっていく。今何が起きていて、誰が敵で、何をしようとしているのか。が常に明確でスムーズなストーリー進行でした。これは原作を知らない人にも十分に世界観を知ることができ、クオリティの高い映画となっていました。
3点目、「CGを多用しなかったこと」
日本映画で、CGを使ったシーンで高評価を受けている作品というのはみたことがありません。むしろ酷評が多くなります。るろうに剣心はこの辺りをよく理解していると思います。(1の江口洋介の牙突はCGでやったほうがよかったかもね)
できるだけワイヤーアクションや、俳優のタテで盛り上げていました。ここが最も重要とも言えるかもしれません。ここがチープな映画は、文化祭感というか、素人感が出てきてしまいます。
この3要素が守られている映画は、成功する確率が高いです。
逆に失敗した「ジョジョの奇妙な冒険」に当てはめて考えてみましょう。
先ほどのるろ剣が成功した条件を、ジョジョ実写映画が満たしたかどうかを確認します。
- 登場人物が「純」日本人でない
- 原作を知らない人からしても退屈すぎるストーリー
- チープを極めたCGの多用
全部満たしてません。1つ目は、実は満たしていると思われがちですが、満たしていないんです。
ジョジョ第4部だけを実写化したのは、おそらく舞台が日本であることと、主人公が日本人であることから政策を決めたのだろうと予測できます。
しかし、これが大きな間違い。
主人公は確かに、東方仗助という日本人の高校生。しかし、イギリス・アメリカ人である父親との間のハーフなんです。身長は190センチほどの大男でガタイは通常の人間2人分というくらいのデカさ。それを178cmの山崎賢人がやるのですから、違和感しかないわけです。
ストーリーも、第4部最序盤にあたる虹村形兆が倒されるまでのストーリー、本当に4部という物語が始まるまでのプロローグをやるだけ。しかも120分でここまでなのでめっちゃくちゃテンポが悪いです。
極め付けはやってはいけないランク1位のチープすぎるCGの多用。日本映画でジョジョのようなCG不可避の映画をなぜやってしまうのか。目も当てられませんでした。
本当を言うと、俳優の演技も色々と言いたいことが多いのですが、この辺りは僕の主観がかなり入ってしまうので、差し控えます。
しかし、「有名な俳優=良い演技をする俳優」と言う凝り固まった考え方は絶対にやめたほうがいいと思います。
この2作品からわかることは、日本において実写化を成功させるために満たさなくてはいけない最低条件は
- 演者や舞台が日本、もしくは違和感を生まないものであること
- 原作を知らない人にも面白いストーリーであること
- CGを多用しないこと
です。これを満たしたうえで、カメラワークや出演者の演技などが良いことで、良い映画となるのです。
これを踏まえてハガレンが再起するには
先ほどの3つの最低条件を、ハガレンに当てて考え、どうすればずっこけたハガレン実写化が再起することができるかを考えてみます。
まず1点目演者や舞台が日本、もしくは違和感を生まないものであること。
これは、満たせていません。1mmも満たせていません。
上記の通り、登場人物の100パーセントが外国人なのに対して、全てにおいて日本人が演じるという異様ぶり。
これだけ左側にカタカナが並び、右側に日本語が並んでいるのは異様ですね。ディーンフジオカだけカタカナなのでニアピンです。
この部分の条件は守られていません。
2点目、原作を知らない人にも面白いストーリーであること。
ここが最も可能性のある箇所。ストーリーがしっかりとしていれば、映画としては成立します。原作ファンからの評価は低くとも、ストーリーさえ明瞭かつ面白ければ、新規客からは一定の評価を得られるでしょう。
次回作では「スカー」(新田真剣佑)がキーキャラクターとなりそうです。新田真剣佑は、るろうに剣心でも剣心最大の敵である「雪代縁」役も演じています。アクション・演技力・ビジュアルをとってもかなりのポテンシャルを持っていますから、スカーへ物語をフォーカスすることで解決する可能性があります。
まっけん一本頼みです。
最後はCGを多用しないこと。
これは公開前とはいえ、おそらく多用すると予想できます。ハガレンにおいて戦闘シーンでCGを使わないわけにはいきません。とはいえ、1作目での酷評を受け、真摯にハガレンに向き合えば、CGを多用はしないと言う結論に至ってくれるのではないかと思います。
しかし予告編を見たところ、また安CGばかりのようですから望み薄ですね。
ここももし満たされなければ、3つの要件のうち2つが満たされないことになりますから、またコケでしまうでしょう。
まとめ
今回は、実写映画ハガレンの続編の生き残る活路について考えてみました。
正直言って、コケないためには「公開しない」のが1番ではあります…。
今回はもう2作品公開が予告されたので、出来るだけ「マシ」な状態で後悔する必要がありますね。
映画館に見にいくつもりはありませんが、まずは世間の評価を待って様子を見てみます。
ちなみに、前述したハガレン1作目とジョジョ実写化について、高評価・もしくは当たり障りのない言葉で記述されたサイトは信用に足らないのでお気をつけてください…。
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