【洋楽考察】Wandered To LA – Juice WRLD & Justin Bieber【格差社会】

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亡くなったもの、無くならないもの

今回ご紹介するのは、2021/12に発表された、ジュース・ワールドとジャスティン・ビーバーのタッグによる新曲「Wandered To LA(LAに迷い込んだ)」です。

この曲は、単なる「ノれる曲」とかそういったレベルのものではなく、大きなストーリーを持った曲です。

今回は、歌手「ジュース・ワールド」について・曲の持つストーリー・社会が抱える問題までを考えてみたいと思います。

Juice WRLDとは?

プロフィール

Juice WRLD(ジュース・ワールド)は1998年生まれのアメリカのラッパー。

本名はジャラド・アンソニー・ビギンズ。

2010年代ごろから活躍しており、代表曲には「Lucid Dreams」など。(youtubeの再生回数7億回越え)

ラップシーンを牽引する代表的なアーティストの一人です。

エモーショナルな歌詞や、甘くどこか切なさの光る声質、確かなラップスキルなどで人気を博しました。

しかし彼は、2019年、21歳の若さで、薬物を原因とする発作によりこの世を去りました。

21歳の若さでこの世を去る

low angle photo of concrete cross under clouds
Photo by Pixabay on Pexels.com

彼についてのwikipediaページには、衝撃の情報が当たり前のように記載されています。

3歳の時に両親が離婚し、ジュース・ワールドと兄はシングルマザーの元で育った[4]。幼少期から10代にかけてヘビードラッグ常用者だった。6年生の時にリーンを飲み始め、2013年にはパーコセットとザナックスを使用していた[5]

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/ジュース・ワールド

ジュースは、「幼少期から10代にかけて」ヘビードラッグの常用者であった。

これがアメリカの格差社会の全てを表していると感じます。

まだ物心ついてすぐの少年の手に、ヘビードラッグが行き渡る社会。それがアメリカなのです。

ジュースは自身の才能によりラップで成功することができました。しかしそんな彼もドラッグから抜け出せず、非常に若くして亡くなってしまうのです。

彼の死を受け入れられない一部のファンの間では、「ジュースはどこかで生きている」と噂されています。

これはマイケル・ジャクソンが亡くなったときにも起きた現象で、基本的に一定数のファンは死を認めません。

ただし、僕も遺体を見たわけではないわけですから、「絶対に亡くなっている」とは言えないので、真実は闇の中です。

「ドラッグ使用」は本当に本人が悪いのか

person with bunch medication pills on hand
Photo by Anna Shvets on Pexels.com

「ドラッグをやって亡くなるなんて、馬鹿なやつだ」「ドラッグをやるようなやつは、亡くなって当然だ」

ドラッグをやった人物や、それによって亡くなった人物への意見として、毎回挙がるのはこういった意見です。

ですが、本当にドラッグをやった本人が悪いのでしょうか?

「食べ物に困らず、自分の好きな服を買い、家族に囲まれ愛され、命の危険など頭の片隅にもなく、ドラッグの入手方法など全くわからない」Aさん

「食べ物は満足に手に入らず、服はボロボロ、孤児、銃でいつ狙われるかわからない、ドラッグはいつでも手に入る」Bさん

の2名がいたとき、ドラッグをやったBさんに、Aさんが「馬鹿だ」と言うのは、正義なのでしょうか。

僕はそうは思いません。社会的な背景・環境・経済的理由・精神的・文化的な違いが生んでいる問題であり、個人の責任はないと思います。

人間は個人で社会と戦えるほど強くありません。自分を守るためにはドラッグをやらないといけない時も出てきてしまうのです。(もちろん、ドラッグをやってはいけないと言うのは大前提です。法を犯す行為は「やってはいけない事」ではあります。)

没後公開された「Wandered To LA」

city near mountain during golden hour
Photo by Roberto Nickson on Pexels.com

そんな背景があっての、2022年12月に公開された本曲。

つまりジュースの没後発表された曲になっているのです。

これはどう言うことか?「亡者が歌うの?」そんなことはありません。

実は、ジュースは生前、未発表の曲を大量に残していったと言われています。噂ではなんと2000曲とか。。

1年に20曲発表しても向こう100年。。

そのうちの1曲を、ジャスティン・ビーバーがコラボという形で作成・発表したものになっています。

ジャスティンは、本曲発表に際し、「どれだけジュースが深刻な状況にあったかをわかってあげられなかった」と悲しみを口にしています。

本曲の歌詞は、ジュースの当時の状況を感じさせるような内容となっています。

歌詞

色々と探してみて、この「ただのKOHH校生」さんの和訳が最もしっくりきました。滑らかに訳されていて、素晴らしいです。

和訳に関しては、僕がするよりこちらの動画を見てください。

歌詞は一応、下記に載せておきます。

[Chorus: Juice WRLD]
I wandered to L.A. hopin’ to explore
Little did I know, I’d find a little more
Love at my hotel room door
From the bed to the hotel room floor
I wandered to L.A. hopin’ to explore
Little did I know, I’d find a little more
Love at my hotel room door
From the bed to the hotel room floor

[Verse 1: Juice WRLD]
Maybe it’s the love, maybe it’s the drugs
Maybe it’s because my girlfriend is the plug
Cocaine strums like guitar chords
She loves drugs, she goes hardcore
She’s hidin’ from the truth, it’s under the rug
Maybe it’s because the lies, they fill her up
You see the ghost on her front porch
You see the blood at her front door
We were doin’ Xans in a Honda Accord
Lookin’ at the things that we couldn’t afford
Fantasies became reality, but only for one of us[Chorus: Juice WRLD]
I wandered to L.A. hopin’ to explore
Little did I know, I’d find a little more
Love at my hotel room door
From the bed to the hotel room floor

[Verse 2: Justin Bieber]
Pillowtalkin’ ’bout our future and our dreams
Speakin’ ’bout how life ain’t really as it seems
Reminiscin’ ’bout the days you broke my heart
Thankful that we worked it out, we come so far (Come so far)
Still you gotta give me space and let me breathe (Let me breathe)
Still you gotta give me lovin’, that I need (That I need)
Still we gotta focus on the little things (Little things)
Never wanna end up how we used to be (Used to be)
And I don’t wanna hear you say-ay (Say-ay)
That you don’t want to be with me (Be with me)
Especially when you need some company (Company)
That’s why I need you, comfort me (Comfort me)

[Chorus: Juice WRLD]
I wandered to L.A. hopin’ to explore
Little did I know, I’d find a little more
Love at my hotel room door
From the bed to the hotel room floor
Wandered to L.A. hopin’ to explore
Little did I know, I’d find a little more
Love at my hotel room door
From the bed to the hotel room floor

[Outro: Juice WRLD]
Ooh, ooh, I’m the elephant in the room
Ooh, ooh, my nightmares are startin’ to come true

https://thewestnews.com/juice-wrld-justin-bieber-wandered-to-la-lyrics-2/59001

歌詞の主な内容は、ドラッグとセックスについて。行為中に湧き上がる感情は、愛情によるものなのかそれともドラッグによるものなのか、それさえもうわからなくなっている。といった感じ。

何が現実で、虚構なのか。ぐちゃぐちゃとした脳内がそのまま歌詞に現れています。

これは生前のジュースの苦悩をそのまま表しています。

曲の最後の歌詞が「悪夢が現実になろうとしている…。」で終わるのにも、とても深いものがありますよね。

元々ジュースの歌詞はこういうセンチメンタルなで、メンヘラチックなものが多いので、現代のさまざまな不安を抱える若者からの支持は大きいです。

さらにコロナによる世界的な不安定状況が続いており、これからもジュースの曲は高い評価を受けるのではないでしょうか。

まとめ

brown and black fox lying on gray rock
Photo by Petr Ganaj on Pexels.com

今回は、今は亡き「ジュース・ワールド」の「Wnaderd To LA」をご紹介しました。

ラップやヒップホップは今でこそ日本でも、「ラップバトル」などでメジャーになりましたが、アメリカでは若者が最も聴く音楽と言われるほどメジャーな音楽。

ラップバトルは氷山の一角であり、ヒップホップという文化には、貧困問題や、ドラッグ、差別などさまざまな問題が背景にあるものです。

この記事が、少しでもそういった文化理解に役立てば幸いです。

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